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号泣する桜庭和志、高田延彦のハッピーエンド、伝説のミルコvs.ノゲイラ… カメラマンが目撃したMMA東京ドーム大会の衝撃の瞬間
text by
長尾迪Susumu Nagao
photograph bySusumu Nagao
posted2021/06/11 11:03
MMAとして初めて東京ドームで行われたRRIDE.1のメインイベントに出場した高田延彦(左)とヒクソン
PRIDE GRANDPRIX 2000 決勝戦
開幕戦を勝ち抜いた8名で争われる1DAYトーナメント。選手の疲労回復を考慮し、15分1ラウンド、判定ありのルールだった。しかし、ホイス陣営は桜庭との対戦決定後、度重なるルール変更を要求。この試合のみ、レフェリーストップもなく、判定もない、15分無制限ラウンドの完全決着ルールとなった。イベント主催者は東京ドーム側と話し合い、翌朝までの使用許可を得た。私も当時はフイルムでの撮影だったので、36枚撮りを100ロール以上準備した。
両者の死闘は90分を過ぎ、ラウンドインターバル(休憩)に入った。
<この試合はいつまで続くのだろうか、そう思いながらフイルム交換をする。私の撮影場所からは、ホイスのコーナーの様子がよく見える。ホイスにはかなりの疲労が見え、目にも力がない。弱々しくホイスがセコンドに話をしている声が聞こえた。私の場所からそこまではかなり距離があり、実際のところ、声は聞こえようがない。しかし、私にはこう聞こえたのだ。
ホイス「もう戦えない。無理だ」
セコンドで兄のホリオン「出来ないならタオルを投げるぞ、いいか?」
何も答えないホイス。
これは絶対にタオルが投入されると、私は確信をもってその瞬間を狙った。ホリオンの手からタオルが離れたと同時に、私は静かにシャッターを押した>