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ネイマールの“女性への性暴力疑惑”でナイキがスポンサー契約解消… 食い違う証言とウラ事情とは【W杯予選では2戦連発】 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byTakuya Sugyama/JMPA

posted2021/06/09 12:30

ネイマールの“女性への性暴力疑惑”でナイキがスポンサー契約解消… 食い違う証言とウラ事情とは【W杯予選では2戦連発】<Number Web> photograph by Takuya Sugyama/JMPA

ロシアW杯のネイマール。その2年前の“疑惑”が今回のナイキとの契約破棄につながった

 それは、フットボール関係者、他メディア、読者の誰もがその信憑性を測りかねたからだろう。 

 ところが、記事が出た日の夜までに、ナイキが声明を発表した(概要。翻訳は筆者)。

<昨年、ネイマールとのスポンサー契約を解消したのは、当社の女性社員から「2016年にネイマールから性暴力を受けた」との信頼に値する訴えがあり、我々は社外の弁護士を通じて調査を試みたが、ネイマールが協力を拒んだためである。

 ただし、この調査は継続中であり、真実はまだ明らかになっていない。それゆえ、我々は(ネイマールを)糾弾しているわけではない>

ナイキの声明発表にインスタで長文反論

 つまり、ナイキはWSJが報じた記事を大筋で認めたのである。この声明は世界各国のメディアで大きく報じられ、とりわけネイマールの母国ブラジルでは大騒ぎになった。28日午前、各テレビ局が臨時ニュースで報じ、多くの活字メディアが伝えた。

 ネイマールは、2年前にもブラジル人女性から婦女暴行で訴えられていた。このため、多くの人が「またか」と考えた。とりわけ、女性ファンはひどくショックを受けたようだ。

 28日、ネイマールは自身のインスタグラムに以下のコメントを掲載した(概要。翻訳は筆者)。 

<自分のプレー、言動、生き方に関して、他者から批判を受けることがある。それは、まだ理解できる。僕たちは、皆、異なるからだ。 

 13歳のとき(ナイキと)最初のスポンサー契約を結んで以来、常に「契約内容については絶対に口外するな」と厳命されてきた。ところが、当の会社(ナイキのこと)がその決まりごとを破り、「契約を解消したのは、(僕が)調査に協力しなかったからだ」と言っている。馬鹿げた嘘だ。 

(性暴力があったとされる2016年以降の)2017年も18年も19年も、僕はこの会社の宣伝活動に協力した。しかし、会社の誰かが僕に何かを言うことはなかった。 

 僕は、自分を弁護する機会を与えられなかった。(性暴力の被害者だという)女性が誰なのかも知らされなかった。僕は女性のことも、彼女が受けたという痛みの理由も知らない。 

(ナイキは)この女性を守らなかったし、僕も守ってもらえなかった。 

 皮肉なことに、今後も、僕は自分を裏切った会社のロゴが付いたユニフォームを着てプレーしなければならない(注:ネイマールが所属するパリ・サンジェルマンもブラジル代表も、用具のオフィシャル・サプライヤーはナイキ)。これが人生だ。 

 時間が真実を明らかにしてくれることを信じ、これからも神を信じて強く生きようと思う。>

【次ページ】 肝心な部分での重大な食い違いとは

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