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ネイマールの“女性への性暴力疑惑”でナイキがスポンサー契約解消… 食い違う証言とウラ事情とは【W杯予選では2戦連発】
posted2021/06/09 12:30
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Takuya Sugyama/JMPA
そもそもの発端は、5月27日にアメリカの高級経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(以下、WSJ)のカディージャ・サフダー記者が配信した1本の記事だった。
「ナイキは、性暴力疑惑に関する調査が原因でネイマールと袂を分かった」というタイトルで、以下がその概要だ(翻訳は筆者)。
契約期間がまだ8年も残っていたというのに
2020年8月、ナイキはネイマールとのスポンサー契約を解消した。関係者によれば、契約期間はまだ8年残っていたという。
当時、ナイキはその理由を明らかにしなかったが、WSJが得た情報によれば、ネイマールがナイキの女性社員に性暴力を振るった疑惑がその発端だった。
ナイキの元社員並びに現社員から入手した情報によれば、2016年にネイマールがナイキの広告キャンペーンに参加するためニューヨークに滞在した際、深夜、自分のアテンドをしてくれていたナイキの女性社員をホテルの自室へ呼んだ。そして、彼女の前で下着を脱ぎ、"性的な行為"をするよう求めた。
当時、彼女はこの出来事を友人と同僚に話したが、会社の人事部並びに顧問弁護士に届け出たのは2018年だった。 この件を解明するようナイキから依頼を受けた弁護士事務所は、2019年から関係者への聞き取り調査を開始した。
WSJからの問い合わせに対し、会社の顧問弁護士は、「ナイキがネイマールとの関係を解消したのは、女性社員の申し立てを受けて我々が調査を開始したが、ネイマールが協力を拒んだため」と語った。
その一方で、「調査は完了しておらず、事実は明らかになっていない」と付け加えた。
これに対し、ネイマールの広報担当者は、「全く根拠のない攻撃だ」と全面的に否定。「2016年に起きたという問題を今になって取り上げていることも、理解に苦しむ。我々としても、断固とした対抗策を講じる」と語った。
当初、この記事の反響は大きくなかったが
このスクープを報じたのがスポーツ・メディアではなく経済紙だったのは、記事を書いた女性記者がナイキの社内外に情報源を持っているからだろう。「ネイマールについてのスポーツ記事」ではなく、「ナイキについての経済記事」として書かれている。
また、ネイマールがナイキの女性社員に性的な行為を要求した疑惑に言及しているが、その後、2人の間で何が起きたかについては触れていない。
当初、この記事に対する反響は大きくなかった。