核心にシュートを!BACK NUMBER
遠藤渓太がウニオン完全移籍も“ハッピーではない”と語る理由 「F・マリノスでプロ1、2年目に戻ったような感覚なんです」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2021/05/21 06:01
ウニオン・ベルリンへの完全移籍を勝ち取った遠藤渓太は東京五輪を前にしてこの移籍をどう捉えているのだろう
「『自分の課題にしっかり取り組まなければオリンピックのメンバーに選ばれることはない』と考えたのも、移籍した理由の1つですし、もちろん出場したいですけど、簡単ではないと考えています。でも、チャンスは0%ではないとも思っているので。“大外(おおそと)から”まくっていけるよう頑張ります」
――マリノス・ユースにいたときにも、トップチームの昇格レースの圏外にいた状態で、高校最後の大会となるクラブユースを迎え、当時の絶対的エースでありながら、大会前にケガをした和田昌士選手(現SC相模原)に「オレがオマエの分までMVPを獲ってくるから!」と宣言したそうですね。そして、実際にMVPと得点王を獲得して、トップチーム昇格も勝ち取ったというマンガみたいなエピソードがありますけど、あれは本当の話なんですか?
「本当です。『オレはもう大学に進むしかない』と思っていましたから」
――遠藤選手をさしおいて下の学年の選手がトップチームの練習に参加する姿を目の当たりにしていたとか?
「あの環境ってやっぱりすごかったですよね。和田選手や下の世代の選手がマリノスタウンのピッチでトップチームの練習に参加しているのをみて、『オレは……』と。あの時期は、思うことは本当にたくさんありました。あのときの(アカデミーの選手がトップチームの練習をすぐそばで見学できた)マリノスタウンの環境には感謝しています」
「ゴールを決める選手は決めるし」
――話を戻すと、欧州5大リーグで結果を残すのは簡単ではないですが、そこで結果を残せばその先のA代表にも間違いなく選ばれるでしょうしね。
「課題ときちんと向き合って成長できないようでは、今後の代表入りのチャンスなんて来ないと思っています。代表はハードルの低いものではないので。すべては自分次第ですし、ここからどれだけ結果を残して、上っていけるかだと思います」
――ひとまず、ヨーロッパでの最初のシーズンは終わります。次はどんなシーズンにしていきましょう?
「今シーズン以上に自分を表現しないといけないです。本当に、もっと自分のことを考えてプレーをすればいいと思うし、必要なのは、試合に出て、ゴールとアシストを増やすこと。明確です。『筋トレを頑張りました』とか『こういう努力をしました』と言ったところで、そんなのはおまじないでしかないんで。ゴールを決める選手は決めるし、結局、そういう選手がスターになっていく世界だと思うので、僕もそうなれるよう必死にやっていくだけです」
森保監督が語った遠藤の選出
森保監督は5月20日の記者会見で、遠藤の選出についてこう語った。
「我々は彼の(ウニオンでの)出場試合を全て確認しています。日本でプレーしていたときのドリブルのキレがあったりとか、ゴールに向かう姿勢は彼の特長だと思いますけど、ドイツに渡って攻守両面でハードワークをする、特に守備の強度を本人が上げなければいけない、ということを意識しながらプレーしているのかなと思っています」
今月のA代表で活動するチャンスをつかめたのは、ドイツに活躍の場を移したことが大きく関係している。Jリーグで戦っていたら、スケジュールの問題から参加することが不可能だったからだ。
その後の東京五輪メンバーの最終選考にむけても、今回のA代表での時間はプラスでしかない。
そのチャンスをいかにして、有意義なものにしていくのか。全ては遠藤の奮闘次第である。