核心にシュートを!BACK NUMBER
遠藤渓太がウニオン完全移籍も“ハッピーではない”と語る理由 「F・マリノスでプロ1、2年目に戻ったような感覚なんです」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2021/05/21 06:01
ウニオン・ベルリンへの完全移籍を勝ち取った遠藤渓太は東京五輪を前にしてこの移籍をどう捉えているのだろう
「僕はウイングしかできません」では生き残れない
――アウトサイドではなく、8番のポジションでもスピードやドリブルからの突破を見せられていたことは新鮮な驚きでした。
「サッカーをしていたらどんな監督と出会うかはわからないじゃないですか。日本にいた時にはモンバエルツさんとポステコグルーさん、どちらもウイング的な選手を置く監督だったから、僕は中寄りの位置でプレーする機会が少なかっただけだと思っています」
――なるほど。
「ブンデスでも上位のクラブはサイドに速い選手をおいて、仕掛けさせるところは多いです。ただ、中位や下位のクラブでは必ずしもそうではない。『僕はウイングしかできません』ということでは、この先、生き残っていけませんし、サイド以外のポジションに嫌々取り組むのではなくて、『自分のためになる』と思ってやらないと意味がないと考えています」
あのケルン戦からは少なくとも2試合に1回は、まとまった時間プレーできるようになった。特に、上位との対戦で長く起用されている。
ウニオンは攻撃力のあるチームとの試合では4バックで、それ以外は3バックで戦うケースが多い。3月以降では、首位バイエルン戦(80分出場)、3位ドルトムント戦(58分出場)では4-4-2の左MFとして、後半開始時から45分の出場となったヴォルフスブルク戦では3-5-2の左のインサイドハーフで出場している。
「たしかに、強い相手のときによく使われますよね。特別な指示や説明を受けているわけではないのですが。守備に追われる時間が長くなっているときに、僕みたいな選手がいると、カウンターで陣地奪回できると思ってくれているのかもしれませんね」
あれくらいのレベルを相手にやれるようにならなければ
――クロスからのチャンスを多く作れたのは収穫だったのでは?
「いくつかの試合では縦に抜いたり、左足のクロスからチャンスを作れたとは思います。ただ、上位チーム相手にもどれだけできるかが大事ですね」
――4月21日のドルトムントでは左サイドをしかけるシーンが目立ち、チーム最多タイのシュートも放ちましたが、クロスについては……。
「例えばエムレ・ジャンと並走することが何度かあったのですが、TVで見ていると、彼は速さより強さがあるタイプに見えるじゃないですか。だから、ボールを縦にさらして、『いける!』と思って、仕掛けたのですが……」
――簡単にクロスをあげさせてもらえなかったのは、どこに原因があると感じましたか?