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遠藤渓太がウニオン完全移籍も“ハッピーではない”と語る理由 「F・マリノスでプロ1、2年目に戻ったような感覚なんです」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2021/05/21 06:01
ウニオン・ベルリンへの完全移籍を勝ち取った遠藤渓太は東京五輪を前にしてこの移籍をどう捉えているのだろう
「最後の局面です。ボールをさらして、縦にグッといって、左足でクロスを上げるためのスペースを作れたという感覚があったんですよ。でも、彼はそこからの寄せがすごくて、最後の一歩でクロスをつぶしてきた。守備の上手さがありましたね。あれくらいのレベルを相手にやれるようにならなければいけないと感じています」
――彼らはヨーロッパのトップ15には安定して食い込むようなチームですからね。
完全移籍も「ハッピーではないですね」
「結局は、個の力だと思っているんですよ。自分に『何ができるのか?』と聞かれたときに、明確に説明できるくらいの個の力を身につけないと。そのためにはフィジカルや技術もそうですけど、メンタルですよね」
――というと?
「例えば、突破を試みて数回失敗したところで、気持ちが落ちてしまう悪い癖が僕にはまだあると思います。それではダメで。何回失敗しても、1度でも決めればヒーローになるわけですから。上に行く選手というのは、上手くいかなかったら、『その日は自分の日ではなかったかな』くらいに思っているんでしょうね。あえて、振り返らないというか。それくらいの姿勢が大事だなと思います」
――完全移籍を勝ち取ったわけですし、遠藤選手は『ハッピー』だと感じていたのですが、話を聞いていると、むしろ『ハングリー』ですね。
「ハッピーではないですね。自分と誰かを比べるつもりはないですけど、同じ世代の選手たちは、多くの試合に出ているし。僕はまだ実力が足りないと思っています」
――なるほど。
「だから、F・マリノスでプロになった1年目、2年目の頃に戻ったような感覚なんですよね。自分1人で戦っている、あの頃の感じ。全てが上手くいかなかったし、自分に自信もなかった。でも、その中でトライは続けていて。ただ、こっちではF・マリノスでの5年間のような時間を与えてもらえることはないので、『完全移籍になって良かった』なんて言っていたら、無駄な時間を過ごすことになってしまいます」
「五輪はもちろん出場したいけど、簡単ではない」
――7月に控える東京オリンピックについては現時点ではどう考えていますか?