バレーボールPRESSBACK NUMBER
「膝が、耐え抜いてくれた」中田久美監督も期待する“サウスポー”長岡望悠が日本代表に戻ってきた理由…二度の靭帯断裂、イタリアで得た刺激
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byTakahisa Hirano
posted2021/05/05 17:01
二度の大怪我を乗り越えて日本代表のコートに戻ってきた長岡望悠。中田監督からの期待も大きい
そうして、昨年10月18日にVリーグ復帰を果たした。11月14日のKUROBEアクアフェアリーズ戦では、約4年ぶりにフルセットの試合をスタメンから戦い抜き、54.2%という高いアタック決定率で、チームトップの28得点を奪う活躍を見せた。
11月末に話を聞いた際、長岡はそのフルセットの試合を振り返り、「体の反応はどうかなと思ったんですけど、膝はそのあと大きな炎症がおきなかったので、『フルセットできるんだねー。すごいすごーい!』と思って」と笑いながら、愛おしそうに左膝をなでた。
それでも、ジャンプ力や試合勘は戻りきっておらず、左膝をかばって他の場所に負担がかかることもあった。恐怖心も簡単には拭い去れない。
以前と同じ体ではないため、「負担になるような体の使い方はしちゃいけないので、より繊細にならなきゃいけない」と手探りの部分もあり、「6人の中の歯車の1つとしてちゃんと噛み合いながらも、勢いをもたらさなきゃいけないポジションなんですが、今はまだまだみんなの歯車に入っていけていない。(10のうち)5も、3も行っていないレベル」と話していた。
「やっと今、7割ぐらいまで」
しかしVリーグ後に代表合宿に参加し、今年4月の記者会見の際には、「今は確実に段階を踏めているなという手応えがある。今までは5割前後という感覚だったんですけど、この合宿に来て、やっと今、7割ぐらいまではきたかな、という感じです」と充実感をにじませていた。
国際試合復帰の相手となった中国は、実力も高さも世界トップ。長岡の前には身長198cmの世界一のエース、シュ・テイなど、190cmを超える選手たちが立ちはだかった。179cmの長岡にとって、最大限に負荷がかかる相手だ。
だからこそ、「久しぶりに、こうした高い相手に対して、積み重ねてきたことを出し切った上で、体が耐えきれるのか、どこまで通用するのかを考えていた。体、膝が耐え抜いてくれたということがすごくよかった」と試合後、安堵の表情を浮かべた。