酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
もし巨人で投げてたら197勝で名球会直前!? 現役最多173勝・ヤクルト石川雅規の“不運な名投手”データとは
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/04/26 11:02
ヤクルトがセ・リーグ制覇した2015年の石川雅規。11度の2ケタ勝利をマークしている小さな大投手だ
石川は、今季まで488試合に登板しているが、このうち473試合が先発。
この内、QS(先発で6回以上投げて自責点3以下、先発投手の最低限の責任とされる)を記録した登板は、239試合あった。
QSを記録した登板の勝敗
128勝46敗65勝敗つかず
QSのうち53.6%で勝ち星がついている。先発の責任を果たしても、半分少ししか勝ち星がついていないのだ。
石川は8回以上を投げて自責点1以下で抑えながら負け投手になった試合が2、勝敗がつかなかった試合が6もある。好投が報われなかった試合が結構あるのだ。
巨人・菅野はQSだと何%勝ち星を挙げている?
では――同じ記録を巨人の菅野智之で見てみると、どうなっているのか?
QSを記録した登板の勝敗
96勝24敗31勝敗つかず
QSのうち63.6%で勝ち星がついている。石川とはちょうど10ポイントの差だ。石川と菅野ではタイプが全く違うから、単純に比較はできないが、強いチームで投げるのと、弱いチームで投げるのとでは、個人記録に大きな差が出てくることが分かる。
菅野のQSでの勝利率を、石川のQS数に掛けると「152」という数字になる。つまり24勝上乗せすることになるのだ。
石川雅規が巨人で投げていれば、197勝していた可能性があるということだ。
173勝の石川が「あと27勝」を積み上げるのはかなり厳しい挑戦だが、197勝なら「指呼の間になった」ということになる。
筆者は、こうした運・不運、不公平も含めて「プロ野球の味わい」だとは思う。そういう意味では200勝してもしなくても、改めて石川はすでに大投手だと思う。