酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
もし巨人で投げてたら197勝で名球会直前!? 現役最多173勝・ヤクルト石川雅規の“不運な名投手”データとは
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/04/26 11:02
ヤクルトがセ・リーグ制覇した2015年の石川雅規。11度の2ケタ勝利をマークしている小さな大投手だ
スワローズの創設以来の通算勝率は4月22日時点で4290勝4927敗318分、勝率.465。昨年まで71シーズンでリーグ優勝は7回記録しているが、5位以下は32回。歴史的に見れば「弱いチーム」なのだ。
ちなみに巨人は同じ期間に5296勝3933敗309分、勝率.574、リーグ優勝は38回、5位以下は3回だけである。
金やん曰く「巨人の守備なら600勝してた」
もちろん、投手個々の能力の差はあるが、弱いチームに入れば強豪と同じような投球内容でも、打線の援護がなかったり、救援投手が打ち込まれたりして勝利がつかない可能性が高まるのだ。
そんなスワローズで353勝267敗、勝率.569を記録した金田正一は偉大の一言だ。彼が在籍した期間のチームは833勝1070敗、勝率.438だったから、金田が投げたときのスワローズは別物のチームだったと言えよう。
しかし、その金田正一でさえもこんな風に語っていた。
「巨人の守備をバックに投げていたら、完全試合やノーヒットノーランばかりじゃないのか。人工芝だったらエラーもないから、600勝は行ったな」
お得意の「カネやん節」とみることはできるが、同時期の巨人は1173勝739敗、勝率.613だったから、金田が巨人に入っていれば勝ち星が数十勝プラスされたのは間違いないところだ。
通算173勝172敗、石川の成績を子細に見てみると
石川雅規は173勝172敗と勝敗が拮抗している。石川が在籍した期間のスワローズは1252勝1388敗、勝率.474と負け越しているから、それでも弱いチームで奮闘しているということになるが、もしも同期間1452勝1181敗、勝率.551の巨人で投げていれば、間違いなく勝利数は上積みできたはずだ。
石川の投手成績を子細に見てみよう。