愚直に縦へ。老成はまだ早い

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　こうしてビニシウスの覚醒とともに上昇気流に乗ったマドリー。シーズン前半戦では考えられなかった、ラ・リーガとCLの2冠獲得が、現実味を帯びている。

　ただ、この稀代のスピードスターの進化を頼もしく思う一方で危惧するのは、結果にとらわれるあまり、プレーがこじんまりまとまってしまうことだ。挑みかかるような、愚直に縦へと突き進むドリブルこそが、やはり彼の真骨頂なのだから。

　ビニシウスともYouTubeで共演している岡部さんも、こう言っている。

「一般のファン目線では、ドリブラーは相手を抜いたか、ボールを奪われたか、その○か×でしか判断されません。だからこそ、仕掛ける勇気を持てるかどうかが、ドリブラーにとっては成否の9割を占めるんです」

　まだ20歳の若さである。老成するのは、もう少し人生経験を積んでからでも遅くない。