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釜本邦茂77歳に “日本史上最高ストライカー”に「釜本2世と言える選手はいましたか?」と聞いてみたら…… 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2021/04/15 11:02

釜本邦茂77歳に “日本史上最高ストライカー”に「釜本2世と言える選手はいましたか?」と聞いてみたら……<Number Web> photograph by Getty Images

77回目の誕生日を迎えた釜本邦茂

 自分が取るというメンタリティは、FWなら誰もが持っているはずである。「それはそうやろ」と釜本も頷くが、「問題はその気持ちが弱いのや」と続ける。

「FWは痛がっちゃいけない。蹴とばされても平気な顔をしないとあかんのですよ。そりゃ痛いですよ。でも、DFに痛い顔を見せたらあかん。僕はね、自分をマークする選手には、『いつまでも後ろからガツガツやっとったら、俺が後ろに回ったら絶対にやっつけるからな』と言っていた。それぐらいの気持ちでやらないと、ゴール前では戦えないですよ」

公式記録をもらうと、すぐ「シュート数」を見る

 93年のJリーグ開幕は、ガンバ大阪の監督として迎えた。試合後に公式記録を手渡された釜本は、必ずシュート数をチェックした。FWの選手がシュートを打っていないと、「これじゃ勝てん」と渋い表情を浮かべたものだった。

「いまどきのFWの選手は、失敗すると周りから何か言われるとか、そういう気持ちがあるんじゃないの? でも、失敗とかそんなの関係ないよね。1試合で1本もシュートを打たないより、ミスしても打ったほうがいい。DFはひとつミスしたら終わりやから、慎重にやらないとあかんけど、FWはクヨクヨしてもしょうがない。次はGKに取られないとこに蹴ろうって、トライすればええだけ。ただ、そのトライを何回するか。5本も6本もシュートを打っても入らんかったら、今日は運がないなって思ってパスを出せばええ。シュートを打ちかけてパッとパスを出せばええ。点取り屋のイメージを出しておけば、ラストパスも楽に出せる。アイツはシュートを打つって思わせれば、DFは寄ってくるでしょ」

 ストライカーの血が濃い釜本だが、実はJSLのアシスト王を3度獲得している。通算アシストもリーグ最多だ。シュートを打つことで守備側の注意を惹きつけ、味方にチャンスを提供していたのである。

「サッカーは動いているんだもん」

「もっと簡単に考えないと。難しく考えても点は取れない。アメリカンフットボールみたいに毎回止まった状態から始められるんなら、考えてやったらええけど、サッカーは動いているんだもん。組み立てをどうするか、最後の突破をどうするか、そこだけを簡単に考えていく。そういうもんでしょ」

 釜本が言う「最後の突破」とは、アタッキングサードやファイナルサードと呼ばれるゾーンを指す。「そこで何をするかや」と、釜本は疑問を投げかけるように話した。

【次ページ】 「釜本2世と言える選手はいましたか?」と聞くと……

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