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サラーがS・ラモスに“削られた”以来のCLレアル戦… 悩めるリバプールは“イスタンブールへの奇跡”を起こせるか
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2021/04/03 17:01
クロップとリバプールがこのまま“冷めた状態”で終わるわけがないはず
「本当にファンが恋しいよ」
「フィジカル面よりも、心理面の影響が大きい。特に試合終盤にファンが盛り立ててくれると、最後のひと押しになるものだが、今はそれがない。本当にファンが恋しいよ」
重要な欠落も、心理面への影響も、それだけに止まらない。1月までにフィルジル・ファンダイク、ジョー・ゴメス、ジョエル・マティプのレギュラーCBが、軒並みシーズン絶望の負傷に見舞われ、2月には主将のジョーダン・ヘンダーソンが鼠蹊部にメスを入れた(復帰は4月上旬濃厚)。
また1月にはクロップ監督の母、2月にはGKアリソンの父が他界。そもそも最高の2シーズンを過ごし、長らく切望してきた至高のトロフィーを立て続けに手にした選手たちに、心の隙が生まれてもおかしくはないし、それは誰にも責められないことに思える。
重要な2週間、そして“因縁の”CLマドリー戦
本格的な春の訪れとともに、ここからリバプールにとって極めて重要な2週間が始まる。日本時間4月4日(日)早朝に敵地でアーセナルとのリーグ戦、同7日(水)早朝に敵地でレアル・マドリーとのチャンピオンズリーグ準々決勝第1戦を控え、同10日(土)夜にはアストン・ビラとのリーグ戦、同15日(木)にはマドリーとの再戦が、どちらも今や鬼門と言っても過言ではないホームで予定されているのだ。
手負いのチームがチャンピオンズリーグを優先させるとしても、ミケル・アルテタ監督のもとで不安定なシーズンを過ごすアーセナルとのリーグ再開初戦はモノにしたい。そこで弾みをつけて、マドリーとの決戦を迎えるのが理想だろう。
ジネディーヌ・ジダン監督が束ねるマドリーとは、3シーズン前の決勝以来の顔合わせとなる。キエフでのファイナルでは、緊迫した前半にサラーがセルヒオ・ラモスの「レスリングのようなタックル」(クロップ監督)により負傷交代に追い込まれ、後半にGKロリス・カリウスの決定的なミスからカリム・ベンゼマに先制を許した。
サディオ・マネが一度は同点とするも、ベイルの美しいバイシクルと強烈なミドル(浮足だったカリウスが正面のシュートを防げなかった)により、マドリーにCL初の3連覇を許してしまった。