酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
【打者編】プロ野球・出身高校別2020年成績ランキング調べました 大阪桐蔭は安打・本塁打1位も打率が…
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/04/01 17:01
大阪桐蔭時代の森友哉。中田翔とともにプロでもその打棒は超一流だ
足のスペシャリストが出身高校地図を塗り替えている
2019年、育成上がりで全く無名選手だったソフトバンクの周東がいきなり25盗塁、盗塁成功率.833と足で大活躍した。以後、ロッテの和田、巨人の増田、オリックスの佐野皓大と無名校出身のノンブランド選手が、盗塁で次々売り出した。これが結果的にNPBにおける「出身高校地図」を変えようとしているのだ。
そもそも長嶋茂雄やヤンキースのミッキー・マントルなど球史に残るスター選手の多くも、最初に目立ったのはずば抜けた足の速さだったと言われる。無名校で前評判が低くても足が抜群に速ければ出世できる可能性がある。これは多くの高校球児にとって夢のある話ではないだろうか?
<打席数700以上の高校の打率10傑>
開星(島根県)651打数204安打 率.313
梶谷隆幸(De:現巨人).323、糸原健斗(神).294
敦賀気比(福井県)862打数269安打 率.312
吉田正尚(オ).350、西川龍馬(広).304
東海大甲府(山梨県)818打数238安打 率.291
高橋周平(中).305、渡邉諒(日).283
桐蔭学園(神奈川県)1107打数304安打 率.275
茂木栄五郎(楽).301、鈴木大地(楽).295
社(兵庫県)725打数195安打 率.269
近本光司(神).293、辰己涼介(楽).223
神戸国際大附(兵庫県)776打数207安打 率.267
小深田大翔(楽).288、坂口智隆(ヤ).246
横浜(神奈川県)1138打数302安打 率.265
近藤健介(日).340、倉本寿彦(De).276
広陵(広島県)936打数247安打 率.264
佐野恵太(De).328、福田周平(オ).258
東海大相模(神奈川県)1463打数378安打 率.258
大田泰示(日).275、田中広輔(広).251
八戸学院光星(青森県)723打数185安打 率.256
坂本勇人(巨).289、田村龍弘(ロ).217
1位は島根の開星高校。今季から巨人の梶谷隆幸、阪神の糸原健斗で、打率.313をマーク。ともにサングラスに着流しで有名な野々村直通監督の愛弟子だ。
2位の敦賀気比は、前述の吉田正尚と西川龍馬、この2人は今季もどんどん打率を上げていきそうだ。3位の東海大甲府、高橋周平、渡邉諒ともにドラ1で入団しながらなかなか浮上しなかった。この2人もここから攻勢をかけるはずだ。
なお安打数最多の大阪桐蔭は、1993打数468安打、打率.235で19位だった。
高校別の打撃成績を見て行くと、甲子園で大活躍したスター選手がすぐに華々しく活躍する例はむしろ少数派であることが分かる。
それよりも、プロに入ってからどれだけ伸びるか、伸びしろがあるかが大事だということだ。
反対に言えば甲子園に出ることができなくても、活躍の余地は十分にあるともいえる。味わい深いランキングではないだろうか。
(高校投手編に続く。関連記事からもご覧になれます)