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中京大中京・畔柳の評価は「則本昂大に近い」 中日のスカウト歴任者が明かすドラゴンズとの“浅からぬ関係”

posted2021/04/01 17:02

 
中京大中京・畔柳の評価は「則本昂大に近い」 中日のスカウト歴任者が明かすドラゴンズとの“浅からぬ関係”<Number Web> photograph by Kyodo News

31日の明豊戦に4回途中から登板した中京大中京・畔柳亨丞。「1週間で500球」ルールの中、甲子園を去った

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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 今回のセンバツで、ネット裏から球児の一投一打に熱い視線を注ぐスカウトマンたちの評価が最も上がったのは、中京大中京のエース・畔柳亨丞(きょうすけ)だろう。あと「121球」で臨んだ準決勝は先発を回避。味方が5点を失った後にリリーフで登板したが、攻撃時に代打を送られたため31球、大会計410球で降板した。「1週間で500球」ルールに異を唱えるつもりは毛頭ない。第1試合で東海大相模に、エースの達孝太を温存したまま敗れた天理と同じく、球数制限導入前なら勝ったか負けたかは別にして、両投手とも登板していた可能性は高い。エースが自分の未来を懸けてまでチームの勝敗を背負う時代は終わった。いわば新しき敗者の姿を見せて、甲子園を去った。

 4試合、計27回3分の1を投げ、わずかに1失点。躍動する右腕の姿に胸躍らせていたのが中日ドラゴンズ関係者だ。高校の1年先輩である高橋宏斗に続いて、ドラフト指名の候補者リストに掲載しているということもある。だが、畔柳とドラゴンズの間には単なる「地元の逸材」という以上のストーリーがある。

「畔柳君は当時からトップランクでした」

 ドラゴンズベースボールアカデミー(以下DBA)。(1)人間性を伸ばす(2)体力をつける……など、8つのコンセプトの下、球団が立ち上げた野球塾だ。名古屋市内や近郊に設けられた教室で、子供たちは所属チームとは別に元プロ選手などから野球を教わる。今春からビシエドジュニア(小学6年)も入校。畔柳はその中でも本格的な技術を学ぶ「エキスパートコース」から巣立った、いわば“生え抜き”である。中学2年生の2017年からおよそ2年間、DBA岡崎市校で腕を磨いた。センバツでの試合後、畔柳は「軸に意識を置いて、力を抜いて投げることを教わった。あれで全然、変わってきました」と話しているが、畔柳を指導したのが、水谷啓昭氏だ。

「私は元投手なので、エキスパートなら7、8人の投手を指導します。畔柳君は体にもボールにも力があった。当時からトップランクでしたね。力は武器になる。それを生かすためにどうするか。上体と腕の力だけで、力任せに投げているところがあり、フォームも安定していなかった。故障につながる危険性がありますので、下半身をうまく使って投げることをアドバイスしたんです」

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