フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
「ちょっと苦しかった」羽生結弦が今後目指すものとは?… 鍵山優真が飛躍、宇野昌磨は“新境地”に【世界フィギュア2021】
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2021/03/30 11:01
SPで首位に立ったものの、フリー4位、総合3位となった羽生結弦
「別にすぐやめるとか、匂わせではないんですけれど」
2020年からスイスでランビエル・コーチとトレーニングをするようになって、一番変わったことはスケートに対する気持ちだ。
「元々楽しんではいたんですけど、よりスケートに楽しさをこめてやるようになったかなと思います」本人がそう口にしたように、かつてのような思いつめた表情を見せることはなくなった。
「試合に今回出てみて思ったのが、失敗を恐れなくなったこと。今まで失敗したくないという気持ちが、とても強かった。今回はSP、フリーともに地に足がついていた。やっと自分らしい演技が試合でできるようになってきた、というのを実感してきました」
その理由の一つは、自分の競技者としての残りの時間を意識するようになったことだという。
「別にすぐやめるとか、匂わせではないんですけれど」と補足した上で、「スケートもあと何年続けるかわからないですけど、間違いなく今日までやってきた年月より短い。終わりに差し掛かっているかもしれない。毎日毎日を大切に楽しみたいなと思っています」と言葉を結んだ。
すでに全てを手にしながら自分の次の目標に向かう羽生、彗星のごとくシニアの表彰台に到達した鍵山、そして新たな境地にたどり着いた宇野。同じフィギュアスケートの大会の中で、三者三様の立ち位置から精一杯の演技を見せてくれた。