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「ちょっと苦しかった」羽生結弦が今後目指すものとは?… 鍵山優真が飛躍、宇野昌磨は“新境地”に【世界フィギュア2021】 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2021/03/30 11:01

「ちょっと苦しかった」羽生結弦が今後目指すものとは?… 鍵山優真が飛躍、宇野昌磨は“新境地”に【世界フィギュア2021】<Number Web> photograph by Getty Images

SPで首位に立ったものの、フリー4位、総合3位となった羽生結弦

 スコアを目にした瞬間、驚きのあまり両手が開いた位置で固まった鍵山。マスクをしていなければ、きっと口も開いていただろう。我に返って、何度も飛び跳ねながらガッツポーズをとった姿は、シニアのトップへの扉を開けたばかりの、まだ幼さを残した17歳だった。そう遠くない将来、彼がさらに恐ろしいようなスコアを手にする日が来るだろう。

2012年ニースの羽生結弦17歳を思い出す

 17歳といえば、2012年ニース世界選手権で、羽生が初めて表彰台に上がった年齢だ。1位パトリック・チャン、2位高橋大輔、そして足首の負傷を抱えてシニア初挑戦した羽生が、3位。4位ブライアン・ジュベール、5位フローラン・アモディオ。2018年に亡くなったデニス・テンが7位。

 懐かしい名前が思い出され、ああ、あんな日もあった、というほど昔のことに感じられる。美しいニースの街中の競技場で、先輩2人と表彰台に上がった17歳の羽生は、やはりまだあどけなさの残るシャイな笑顔をキラキラと輝かせていた。

 その羽生があれからオリンピック金を二度手にし、9年後の現在もまだ表彰台に乗っているというのは、改めて考えてみると、奇跡のようだ。

 私たちはどの大会でも、羽生選手なら、きっと勝つだろうと当たり前のように思ってきた。だが過去10年間、1シーズンも丸ごと休むことなく、表彰台に上がり続けてきたというのはこの競技において想像を絶すること、と言っても過言ではない。

「目をつぶっても跳べる」と言った3アクセルで……

 ストックホルムで羽生は、SP「レット・ミー・エンタテイン・ユー」で、ほとんど神がかった演技を見せて、トップに立った。

 だが2日後のフリーでは、異変が起きた。

 顔が蒼白く、バサバサの髪のまま本番に出てきたときから少し違和感があった。だが本当にこれは何かあったな、と思ったのは以前に本人が「目をつぶっても跳べる」と言ったほど得意な3アクセルが、2回ともきれいに決まらなかった時だった。

【次ページ】 理由もなしに、ここまで崩れる選手ではない

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