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紀平梨花「ダメダメだと思ってもいいことない」、坂本、宮原も“得るもの”が…3枠確保し北京五輪へ
posted2021/03/31 11:01
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
ストックホルム世界選手権の会場で、日本女子は坂本花織が6位、紀平梨花が7位、宮原知子が19位という結果に終わった。上位2人の合計13で、かろうじて北京オリンピックの出場3枠は獲得したものの、予想外の苦戦を強いられた。
一体、何が起きたのだろうか。
紀平は体に不調があった?
紀平はSPで3アクセルが回転不足の判定だったものの、79.08でシェルバコワについで2位と、悪くないスタートをきった。
ところが2日後のフリーでは、冒頭のアクセルが2回転に。続いて挑戦した3アクセルは回転が足りずに転倒した。その後コンビネーションジャンプのサルコウもダウングレードになり、最後の3ルッツは回転が足りずに着氷が乱れた。フリー126.62のスコアは、紀平がシニアに上がってから、もっとも低いスコアである。
どこか体に不調があったのだろうか。
「ありましたけれど、一応(ウォーム)アップもできている状態なので、それが原因で失敗したわけではないです」
身体が思うように動かなかった
演技後、紀平はそう口を開いた。実際、以前に痛めた靭帯が少しぶりかえしてきていることをほのめかしたが、その影響ではないと断言。では一体どうしたのか。実は体の時差の調整に、失敗したのが原因だった。
「まったく緊張とかは今回してなくて、緊張していたらもっと跳べない感じで、しっかり集中したんですけど、力が入らなかった」
本人がそう言ったように、演技を開始するときは、とても落ち着いた良い表情に見えた。気持ちではなく、身体が思うように動かなかったのだという。