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「ちょっと苦しかった」羽生結弦が今後目指すものとは?… 鍵山優真が飛躍、宇野昌磨は“新境地”に【世界フィギュア2021】

posted2021/03/30 11:01

 
「ちょっと苦しかった」羽生結弦が今後目指すものとは?… 鍵山優真が飛躍、宇野昌磨は“新境地”に【世界フィギュア2021】<Number Web> photograph by Getty Images

SPで首位に立ったものの、フリー4位、総合3位となった羽生結弦

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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 新型コロナウイルスパンデミックの影響で、無観客で開催されたストックホルム世界選手権。男子は、SP3位スタートだった米国のネイサン・チェンがフリーで圧巻の演技を滑り切り、逆転優勝して3度目のタイトルを手にした。

 日本は金メダルこそ逃したが、17歳の鍵山優真が銀、26歳の羽生結弦が銅、23歳の宇野昌磨が4位となり、2位、3位、4位という素晴らしい成績を残した。

 トップ2名ではなく、3名の合計が余裕で13以下なのだから、北京オリンピック出場枠は男子4枠くらいいただきたい。だが残念ながらISUルールでは1カ国、最大3枠までと決まっている。

 本大会で最も興味深かったのは、この3人がそれぞれの立ち位置から、違った強さを見せてくれたことだった。

シニアの初の大舞台で銀の鍵山

 2020年3月、鍵山優真はタリン世界ジュニア選手権で2位になり、銀メダルを持ち帰った。世界的なパンデミックでロックダウンが始まる直前の、最後の国際大会だった。

 あれから1年。その鍵山が今度はストックホルムでシニアの世界選手権に挑戦した。2種類の4回転を組み込んだSPをノーミスで滑り切り、苦手意識のあった「鬼門」の3アクセルもきれいに着氷。いきなり100点超えのスコアを手にし、羽生に次いで2位という位置に立った。

「そもそも、この世界選手権に出ているだけで緊張するんですけど、さらに最終グループで練習すると、ここにいていいのか、と最初は思いました」

 そう感想をもらした鍵山だが、本番ではそれほど緊張した様子もなく、フリーで3度の4回転をみごとに成功させた。ジャンプの技術だけでなく、スケーティング、スピン、そして音楽を感じて体で表現する力。どれ一つとっても怖いほどの才能である。

驚きのあまり両手が開いた位置で固まった鍵山

 世界のジャッジたちは改めて、Yuma Kagiyamaの名前を胸に刻み込んだことだろう。フリー190.81、総合291.77でチェンに続いて2位に入った。

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