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「ちょっと苦しかった」羽生結弦が今後目指すものとは?… 鍵山優真が飛躍、宇野昌磨は“新境地”に【世界フィギュア2021】
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2021/03/30 11:01
SPで首位に立ったものの、フリー4位、総合3位となった羽生結弦
理由もなしに、ここまで崩れる選手ではない
それでもミスを最小限に抑えて、フリーは4位、総合3位で表彰台に残った。
「すごい疲れました。まあ、すごく自分のバランスが一個ずつ崩れていってたので、なるべく転倒しないようにというふうに、頑張れたと思うんですけど。一つ一つ自分らしくないジャンプが続いていったので、大変だったなと思います」
演技後は、さばさばとした口調でそう言った羽生。理由もなしに、ここまで崩れる選手ではない。だが言い訳とも受け止められるような理由を、気軽にメディアに明かすような選手でもなかった。
「ちょっと」は、おそらくかなり苦しかったのでは
ロシアの一部のメディアが、フリーの日に持病の喘息の発作を起こした、と報道したという。一夜明けの取材でそのことを聞かれた本人は、こう答えた。
「フリーの後にちょっと感じたかな、と思うんですけど。でもまあ終わってみたら、ああちょっと苦しかったかなと思うくらいで、特に会場入りが遅くなった理由とかではないです」
羽生の「ちょっと」は、おそらくかなり苦しかったのではないか。だが改めて記者に聞かれると、「体調は問題ない」と言い切った。
大会に来る3日前まで、4アクセルの練習をしていたことを明かした。2月中に一度でも練習で降りられたらこの大会で入れよう、と考えていたのだという。だがそのことと、ここのフリーのジャンプ不調は無関係であることを強調した。
北京オリンピックはどうするのか?
来季も競技活動を続けると表明したが、みんなが気になっている北京オリンピックはどうするのか。そう聞かれると、「うーん」と少し言葉を探して、こう続けた。