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「今日はダメだ」“8回164球”3失点の達孝太(天理)はどこで立ち直った? 自己採点は辛口「30点」→「60点」→「0点」【センバツ】
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKYODO
posted2021/03/29 15:25
天理のエース達孝太。161球、134球、164球という球数にも注目が集まっている
「それまではぜんぜんボールが来てなかったんですけど、点が入った後から、球の質がぜんぜん変わりました。表情もめっちゃ硬かったんですけど、ちょっと柔らかくなったかなと思います」
5回以降も3四球と制球力は戻らなかったが、球の勢いだけは最後まで衰えず、8回まで164球を費やして2安打1失点でしのぎ、2番手投手にマウンドを譲った。
自己採点「30点」→「60点」→「0点」
達は1失点完投だった宮崎商戦(1回戦)は「30点」、完封した健大高崎戦(2回戦)は「60点」と自己評価をしたが、この日の試合は、10―3と大勝したにもかかわらず、「0点」と手厳しかった。
「よかったところは、なかったですね」
初戦はフォームが安定しなかったが、2回戦の前日、シャドーピッチングをしているときにきっかけをつかんだ。
「それまではテークバックを大きく作っていたんですけど、もっと、体のラインを通すような感覚で(コンパクトに)投げてみよう、と。そうすると、若干、前に突っ込むんですけど、腕の振りは速くなる。突っ込んでもいいので、欲しい感覚でした」
2回戦はそのフォームが奏功したが、新たな感覚も、慣れると効果が薄れる。
「いい感覚が普通になってくると、他の感覚が欲しくなってくる。(この日の試合は)そこがうまくいかずに狂ってしまった」
とはいえ、8回3失点で抑えるあたりは、さすがだ。しかし、達の理想は高い。
「8回3失点ではぜんぜん納得がいかない。9回を0点で抑えて、ヒット1本、フォアボール1個ぐらいが理想なんで」
次戦への意気込みを聞くと、いつものセリフが出た。
「全部、三振を取るつもりで」
スタイルを曲げるつもりはない。