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マイナーリーガーの給料アップ、女性の幹部起用に「インディアンス」名称変更…米野球界に広がる“社会的変革の波”
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGettyImages
posted2021/03/31 17:01
開幕投手を務める前田健太(左)とダルビッシュ有(右)。日本人投手2人が選ばれたのは4年ぶりだ
かつて少数派(マイノリティ)と呼ばれた人々が、今の米国で急速にその地位を上げている理由は、昨年、現職警察官の黒人への暴力に端を発し、世界的に拡大した「Black Lives Matter(BLM)運動」による「あらゆる差別の撤廃」の流れだろう。そうでなければ「インディアンス(ズという人もいるが、ここでは日本の通信社の表記に合わせた)」が今季限りでMLBから姿を消すことなどなかったし、今でも「インディアンス」の支持者が長年、使い続けてきた「(アメリカ原住民の)勇敢なワフー酋長へのリスペクトなんだ」という言い訳が通用していたことだろう。
MLBでも広がる「差別撤廃の流れ」
新型コロナウイルスのワクチン接種が増えて、観客が収容人員の20%から50%、そして制限なしに拡大される中、我らが日本人選手が活躍するのを見るのはとても楽しみなことだ。だが、その陰で米国やMLBの社会的な「変革」が急激に起こっていることをしっかりと理解しておかないと、どこかの国の五輪・パラリンピックの元大会組織委員会会長みたいに迂闊なことを口にしてしまうのではないかなどと思ってしまう、2021年のMLB開幕直前である。