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マイナーリーガーの給料アップ、女性の幹部起用に「インディアンス」名称変更…米野球界に広がる“社会的変革の波” 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2021/03/31 17:01

マイナーリーガーの給料アップ、女性の幹部起用に「インディアンス」名称変更…米野球界に広がる“社会的変革の波”<Number Web> photograph by GettyImages

開幕投手を務める前田健太(左)とダルビッシュ有(右)。日本人投手2人が選ばれたのは4年ぶりだ

 元二冠王のノーラン・アレナド内野手を補強したカージナルス以外は、ダルビッシュ(前カブス)やサイ・ヤング賞投手バウアー(前レッズ)など、昨季の戦力を失ったことがニュースになっているチームばかりだが、チームの根幹をなす選手の顔ぶれはあまり変わっていない。日本人なので秋山翔吾外野手(レッズ)の活躍次第で勢力図が変わってくると勝手に思い込んでいるが、その秋山選手もキャンプイン直後に夫人が不幸な事故に巻き込まれて一時チームから離脱したかと思えば、オープン戦の試合中に本人が左大腿部の怪我を負ってしまい、開幕戦出場が絶望的になってしまった。

 秋山は通常時なら怪我が治った後、傘下のマイナーチームにリハビリ配置されて、実戦感覚を取り戻していくことになる。ところが今年は新型コロナウイルスの感染防止策として、マイナーリーグの開幕を約1カ月延期することが決まっている。もし4月中に試合に出られる状態になっていたら、「Alternate Training Site(代替トレーニング場 以下ATS)」と呼ばれる場所で調整することになる。昨年同様、ATSは怪我でリハビリしている選手とメジャー昇格の可能性がある有力なマイナー選手の調整の場として設けられる場所で、今季は「他球団の有力マイナー選手」とのオープン戦が行われる可能性もあるという。

 そのマイナーリーグ、今季から大掛かりな改革が実行される。

「月給10万が5カ月分のみ」マイナーリーグが改革へ

 まず何よりも、MLBへの将来的な導入を前提にした「ルール変更」だ。すでに報道されていることだが、マイナーリーグの最上位クラスから順に、トリプルA(3Aという言い方は日本のみ)では「選手同士の衝突を避けるためのベースサイズの変更」、ダブルAでは「伝統的な守備位置に戻すための極端な守備シフトの抑制」、シングルAでは「時間短縮のための投手のけん制球ルールの厳密化と回数制限」や「機械によるストライク判定」など、革新的な変更が決定している。

 もっと根本的な改革は、今まで6階級合計160チーム前後もあったチーム数が4階級合計120チーム前後に大幅縮小されることだろう。これはパンデミック以前から決まっていた予算削減の一環で、チーム数を減らす代わりに選手たちの給料を38%から72%程度上げるという。それは月給10万円程度で約5カ月分しか出ないマイナーリーガーの待遇が「労働基準法に反している」と以前から何度も問題となっていたからでもある。

【次ページ】 大幅縮小で生まれる「アマチュア選手のチャンス」

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