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内川聖一「なんで、ない事ばかり書かれるのかは正直…」 ホークス退団→ヤクルト加入の経緯を明るく語った理由 

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花田雪

花田雪Kiyomu Hanada

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photograph byNaoya Sanuki/JIJI PRESS

posted2021/03/26 11:04

内川聖一「なんで、ない事ばかり書かれるのかは正直…」 ホークス退団→ヤクルト加入の経緯を明るく語った理由<Number Web> photograph by Naoya Sanuki/JIJI PRESS

ソフトバンクからヤクルトに移っても、内川聖一の打撃技術は光り輝くはずだ

開幕前の大不振、一軍で初めて出番がなかった

 迎えた、2020年。

 全世界を襲った新型コロナウイルスの感染拡大は、プロ野球界にも大きな波紋を呼んだ。

 シーズン開幕は大幅にずれ込み、多くの選手がいつ来るか分からない開幕に照準を合わせるのに苦心した。

 結果論ではあるが、内川もその一人だった。

 開幕前の練習試合では21打数1安打の大不振。その影響もあり、実に17年ぶりに開幕を二軍で迎えることになる。

 ただ、この頃はまだ周囲も、おそらく内川本人も「シーズンが始まれば、かならず出番はやってくる」と感じていたはずだ。

 しかし、シーズンが終了するその日まで、「出番」がやってくることはなかった。

 二軍では42試合に出場し、打率.327と格の違いを見せつけた。その意味で、前年オフに語ってくれた「まだまだやれる」という手ごたえは、決して間違いではなかった。

 それでも、結果としてはプロ20年目にして初となる「一軍出場なし」。そして内川は、10年間在籍したホークスを退団することになる。

「正直、なんで、ない事ばかり書かれるのかは(笑)」

 内川と1年ぶりに再会したのは、ちょうどこの頃だった。突然の退団発表は多くの憶測を呼んだが、内川本人は意外なほど明るく、一連の報道について率直な気持ちを語ってくれた。

「なんでこんなに、ない事ばかり書かれるのかは正直分からないんですよね(笑)。僕自身は、2020年の結果をしっかりと受け止めているし、納得もしています。チームは、リーグ優勝を達成した。その中で『内川聖一が必要だ』と思わせることができなかったのは、僕自身の責任です。もちろん、『俺を使え』という気持ちがなかったわけではないけど、それは僕だけじゃなくて全てのプロ野球選手が思うことですから」

 悔しくないはずはない。それでも、内川の口からは自身の置かれた状況を冷静に、淡々と語る言葉だけが発せられた。

「プロ20年目、38歳の選手が1年間、一軍に呼ばれなかった。この結果を第三者の目で見た時、果たして来年はどうなの? という思いはありました。2011年にホークスに移籍したときは『このチームで引退するんだ』と信じて疑わなかったし、最近まで、僕もそう思っていた。でも、自分の中では『まだまだ、やれる』という感覚がある以上、もう一度、一軍で勝負がしたい。そんな気持ちが芽生えたのも確かです」

【次ページ】 ヤクルト入団後、覚悟はさらに強固になっているのでは

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