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史上初の2年連続得点王 前田遼一39歳が語る“引退決断”と“ストライカー人生”「ジュビロにいたからこそ、FWになれた」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/03/06 06:00
今年1月14日に現役引退を発表した前田遼一さん
「チームが勝てなくてもむなしさはなくて、楽しかったですね。2008年に残留争いをしていたので、それを回避できる状況だったから悲観的でもなかったので。ただそれでもチームとして勝てなかったのは、僕が点を取るということにフォーカスして、自分のことばかり考えていたからかもしれないなと、今は思います」
――得点王になったあとは、いろいろなチームから獲得のオファーが届いたと聞いています。その中で、なぜジュビロ磐田に残留されたんでしょうか?
「ヤットさん(遠藤保仁)や俊さん(中村俊輔)といった中盤の素晴らしい選手が揃っているガンバ大阪や横浜F・マリノスから声をかけてもらったのはとても光栄なことでした。でも『どこへ行けば自分がうまくなれるか』を自分なりに考えた結果、ジュビロに残留することにしたんです。
当時のジュビロには(山田)大記をはじめ、いい若手が入ってきて、これからチームとして成長すると感じたし、そういうなかで自分も成長できるだろうと。結果的にも、その期間に多くのことを学べたと思っています」
――そして2015年にFC東京へ移籍されます。当時は「いろいろな引き出しを増やしたい」と話していました。ここで移籍を決意されたのは?
「クラブ史上初のJ2降格を経験して、1年でJ1に戻ってくることを目標にした2014年シーズンでしたが力が及びませんでした。本当に申し訳なく思っています。それから名波(浩)さんが新しく監督に就任(2014年の9月以降指揮を執る)して、『チームとして何年後か先を見据えているんだな』と感じました。同時に、自分の残りの現役生活もうそんなに長くもないかもしれないなと。
その時に、『もう一度J1でプレーしたい』と強く思ったんです。それで、もしチャンスがあるなら行かせて(移籍させて)ほしいとお願いしました。これを聞いたら、ジュビロのサポーターの方は『えッ?!』って思うかもしれないけれど、正直にそういう気持ちでした。ジュビロに残留を決めた時と同じように、『どこへ行けば自分がうまくなれるか』を自分なりに考えた結果でした」
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