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現地番記者が暴露する“銀河系レアル”崩壊の真相… ベッカム加入も停滞、フィーゴが批判した「最低の監督」とは
text by
カルメン・コリーノ(ディアリオ・アス紙)Carmen Colino(Diario AS)
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/03/01 17:02
世界、とりわけ日本で大ブームを起こしたベッカムのレアル・マドリー移籍。しかし彼の加入は、第1期ペレス会長政権終焉の始まりだった
マケレレの代わりにやってきたベッカム
2003年夏、マケレレの代わりにやってきたのはベッカムだった。
フィーゴ、ジダン、ロナウドに続く4人目の「銀河系」を加えたマドリーは、この夏初めてアジアツアーを実施している。アジア市場を開拓すべく、昆明、北京、東京、香港、バンコクを転戦したことでクラブはビジネス面で急成長を遂げたが、その代償を払ったのはチームだった。
デルボスケの後任には、フロレンティーノが掲げた「クラブの近代化」の担い手としてカルロス・ケイロスが選ばれた。ケイロスの就任に際し、フロレンティーノは後に批判の的となる発言を残している。
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「デルボスケは極めて伝統的なメソッドを用いる監督だ。我々は技術的にも戦略的にも、より洗練されたメソッドを求めている」
ケイロスはポルトガル人であり、それまでマンチェスター・ユナイテッドでファーガソンのアシスタントコーチを務めていた。母国の天才フィーゴを見出し、ほどなく加入するベッカムのこともよく知る彼のことを、フロレンティーノはパーフェクトな人材だと考えていた。
ケイロスが喫したクラブ最悪の5連敗
2003-04シーズンのスタートは好調だった。スーペルコパを制し、チームもうまく機能していたが、サラゴサに敗れたコパデルレイ決勝を境に歯車は狂いはじめる。
チャンピオンズリーグではモナコに敗れ、リーガではラスト5節でクラブワースト記録の5連敗を喫し、最終的に4位でフィニッシュ。クラブの近代化を担うはずだったケイロスは、1年で過去の人となった。
並行してフロレンティーノは2004年夏の会長選挙で94.25%もの票を集め、再選を果たした。その陰ではスポーツディレクターのバルダーノがクラブを去っている。
自身の意見になど耳を貸さず、この年もオーウェン、ウッドゲイト、サムエルらを買い集める上司に嫌気がさしたのだろう。去り際に彼は「今は会長が自由に決断できる体制がベストなのだろう」と皮肉を残している。
その後もフロレンティーノは我が道を突き進んだ。