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高校野球女子マネの“雑用係だけじゃない”改革…「悩みを抱える学校はあるんじゃ」「私達もレベルアップを」情報共有サイトがスゴい

posted2025/06/23 17:00

 
高校野球女子マネの“雑用係だけじゃない”改革…「悩みを抱える学校はあるんじゃ」「私達もレベルアップを」情報共有サイトがスゴい<Number Web> photograph by Kou Hiroo

立花学園の(左から)小島未有希さん、上杉優さん、飯島莉奈さん、神田夢生さん。女子マネージャーの“情報共有サイト”を立ち上げた

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広尾晃

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 高校野球には、マネージャーという仕事がある。選手ではないので、試合に出場することはないが、練習の手伝いをしたり、スコアを付けたり、身の回りのサポートをしたりするような仕事だ。

 共学の高校ではマネージャーは主として女子が担当する。「女子マネ」は、高校野球好きの女子の間では憧れの仕事にもなっている。

「女子マネの在り方」の研究が相次いでいる

 筆者は高校野球の現場を取材して女子マネが働いている姿をよく見る。近年、高校野球の在り方、指導法、トレーニング法、選手自身の「学び」などが大きく変わっているが、女子マネージャーの立ち位置や、その仕事などは昔とあまり変わっていない印象もある。女子マネは下手をすれば「雑用係」のようになってしまうのではないか?

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 そんな危惧を抱いていたのだが――。

「日本野球学会」は、野球に関する研究者、指導者、関係者が自身の研究成果を発表し、意見交換をする場だ。毎年12月には、大学、研究機関、企業、NPB球団、高校などの関係者が集って研究発表を行っているが、近年、高校生の「女子マネの在り方」についての研究発表が相次いでいる。

 2023年の研究大会では、神奈川県の立花学園高が『高校野球のマネージャーの仕事の現状とこれからの課題』と題する発表を行った。

 高校野球のマネージャーはスコアラーやアナウンス、ボール渡しなど固定観念を持って入部するが、大学などにアンケートを実施し、業務の可能性を広げることについて考察。この発表が、高校生部門の「奨励賞」を獲得した。

マネージャー専用オンライン掲示板を開設した

 立花学園高は、24年の学会大会でもマネージャーについての発表を行ったが、単なる「研究」ではなく、全国の高校野球部のマネのネットワークを作ろうという、ユニークな提案を含むものだった。題して……。

『高校野球マネージャーのためのオンライン掲示板の提案』

 である。今の高校野球では、選手は指導者や書物だけではなく、YouTubeなどネットも含めて多くの手段で技術向上のヒントが得られる。

 しかしマネージャーは情報を仕入れる手段が少ない。立花学園のマネージャーたちは「何とかしよう」と立ち上がったのだ。

【次ページ】 スコアにデータ管理、アナウンスのスキルアップ共有

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