酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
カープ秘伝“非情なノック”と猛練習… 二軍キャンプが大瀬良、中崎、今村ら豪華投手陣なワケを高監督に直撃
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2021/02/05 17:02
投球練習する今村猛。カープは彼以外にも大瀬良大地や中崎翔太ら主力投手が二軍キャンプで調整している
内野は2018年のドラ1小園海斗、2019年ドラ4韮澤雄也、楽天から一昨年やってきた三好匠などがノックを受けている。
広島の内野ノックはただゴロを打っているだけではない。
動きが悪いなと思えば、ノッカーは右に左に伸びのないボテボテのゴロを転がす。追いかけて追いかけて追いついたと思ったら、また反対にボテボテ。野手の下半身が悲鳴を上げる。ノッカーは内野手の動きをじっくり見つめながら実に丁寧に、非情なゴロを打っていく。筆者はこのゴロを「ねんゴロ」と名付けたくなった。
高二軍監督が自らノックバットを振って
ノッカーは2人だったが、内野守備走塁担当の山田和利コーチとともにノックバットを振っているのは背番号「71」、今年一軍ヘッドコーチから二軍指揮官に復帰した高信二監督だ。現役時代は守備の名手として知られたが、監督自らがノックバットを振るとは。意気込みが違うと思った。
「あと10本」、「エラーしたからもう1本」
ほとんどの選手が20代で、精いっぱい大声を張り上げるがこれもなかなか見ものだった。
その横では白濱裕太や磯村嘉孝など一軍マスクをうかがうようなクラスの捕手が、背番号3ケタの育成捕手とともにノックを受けている。これを見ると育成選手もライバルなのだと実感できる。
一軍キャンプと見まごうばかりの投手陣が
グラウンド右翼奥のブルペンからは景気のいい音が聞こえてきた。
今年の広島の春季キャンプは一大事である。この日、配布された春季キャンプのスケジュールには「14」大瀬良大地、「16」今村猛、「17」岡田明丈、「19」野村祐輔、「21」中崎翔太、「26」中田廉、「30」一岡竜司、「39」菊池保則と、一軍キャンプと見まごうばかりの顔ぶれが並んでいる。
少し前の「先発ローテ」+「勝利の方程式」がそっくりそのまま二軍にいるのだ。昨年の広島の敗因は、これら投手陣が十分な働きを見せられなかったのが大きかったのは、昨年末の記録の総括で少し触れた。