そして、10月26日にヤクルトからドラフト5位で並木の名が呼ばれる、と並木以上に喜び、涙して抱擁を交わす4年生の姿があった。並木の取材では何度も「仲間」という言葉が出てくる。

「仲間に支えられて成長できたと思います。それがあったから、上手くいかない時にも心が折れませんでした」

　並木の明るく驕らない人柄には、両親、野球を通じて絆が生まれた仲間、アルバイト先の寿司居酒屋の同僚たちなど多くの人から激励のメッセージが届いている。彼らの期待が大きな原動力だ。

「まずは足をアピールして一軍に残って少しでもチームの勝利に貢献したいです。走攻守三拍子揃った観客をワクワクさせる選手になり、盗塁王やベストナイン、ゴールデングラブ賞を獲りたいです」

大学No.1の俊足を生かした活躍を誓った並木　©︎JIJI PRESS

　4年間を2部リーグで過ごし、学生野球の聖地でもある神宮球場に道が繋がることは無かった。それでも並木は自らの真摯な姿勢によって仲間の後押しを受け、堂々と今、神宮球場に繋がるスタートラインに立っている。