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遠藤航は“替えのきかない主軸” いまブンデスで最も熱く、才能溢れるシュツットガルトでの重要任務とは
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2021/01/22 11:01
昇格組ながら前半戦は健闘が光ったシュツットガルト。若きタレント集団において、攻守の軸を担っているのが遠藤航だ
彼らは勇敢なサッカーを求め続けている。貪欲に、何度でも、前へチャレンジし続けるサッカー。ボールを奪われたら、すぐに奪い返しに走り出すサッカー。クラブへの誇りを胸に、ファンの思いを背負って、いつでも全力で勝利を目指すサッカー。
そうした思いは選手にも届いているのだろう。遠藤はそんなファンの気持ちについて次のように語っていたことがある。昨シーズンのニュルンベルク戦後のことだ。
「(ブーイングとか)そういうのもしょうがないというか、僕は気にしていないというか、『前に行けよ』って合図を送ってくれているんだろうと思ってやっています」
躍進の原動力は1人の凄腕スカウト
ただ、そうやってファンの思いを理解しても、体現できなければクラブとしては機能しない。クラブとしてのアイデンティティを、いかに確立するのか。そして、そのためにはどんな選手が必要なのか。
口では壮大な叙述詩のように夢や希望に満ち溢れたことを語っておきながら、実際に補強される選手はチームの現在位置と合致しない――そんな例が、多々見受けられる世界だ。シュツットガルトにしても過去、そうした迷走を繰り返した時期もあった。
そんなクラブに確かな方向性を示してくれているのが、スベン・ミスリンタートSDだ。ドルトムントやアーセナルでダイヤモンドの原石を見つける凄腕スカウトとして活躍した手腕を、ここシュツットガルトでも存分に見せてくれている。
若くてポテンシャルがあり、驕ることなくいつでも全力で取り組むことができ、自分を向上させるために周囲の話に耳を傾けることができる。そんな選手を中心にピックアップし、補強策にずれがない。
いまシュツットガルトでは、今後欧州トップクラブに注目されるであだろう逸材たちが野心ギラギラで暴れまくっている。