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【再び中東移籍】中島翔哉、捲土重来は可能か 深刻なのはポルトが高評価する頑固な指揮官との“軋轢”
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2021/01/19 17:00
2020年12月、ポルトガルスーパー杯制覇をチームメートと喜ぶ中島翔哉。再びのチャンスを得るためには、とにかくUAEの地で結果が欲しい
デコやファルカオ、フッキも羽ばたいたが
ポルトは1986-87シーズン、2003-04シーズンに欧州CLを制覇しており、レアル・マドリー、バルセロナ、バイエルン・ミュンヘンといった世界トップクラブのすぐ下に位置する。MFデコ、FWフッキ、FWラダメル・ファルカオらこのクラブでの活躍をテコにしてビッグクラブへ羽ばたいた選手が大勢いる。
だからこそ、中島が世界の超一流選手の仲間入りをするための最高の環境と思えた。
しかし、地元メディアから“頑固者”と評されるセルジオ・コンセイソン監督は「クラブがいくら払って誰を獲得したか、全く考慮しない。私は、自分が評価した選手だけを起用する」と冷静だった。
コロナ禍による“練習不参加”に監督が怒り
はたして、中島は2列目左サイドのレギュラー争いで遅れを取ってしまう。しかも2020年3月に新型コロナウイルス感染拡大のためシーズンが中断され、5月にチーム練習が再開された後、予想外の事態に直面する。
「日本から連れてきたお手伝いさんがコロナ感染を恐れて帰国してしまい、自宅で幼い娘と体調を崩した夫人の面倒をみなければならない」という理由(中島の代理人が地元メディアへこう説明した)で、チーム練習に参加しなくなった。
この態度にコンセイソン監督は「職場放棄だ」と怒り、チームメイトの多くも感情を害したようだ。その後、本人がチーム練習への参加を望んでも逆に拒絶され、練習場の片隅での個人練習を強いられた。試合に全く出場しないことから、日本代表にも招集されなくなった。
そして、ポルトは中島抜きでリーグとポルトガル杯の二冠を達成した。
これは、チームが中島を特に必要としなくなったことを意味する。シーズン終了後、地元メディアは、「ポルトは中島の移籍先を探している」と報じた。しかし、彼の獲得に要した金額かそれに近い条件を提示するクラブは現われず、結果的にポルトに残留した。
とはいえ頑固一徹のコンセイソン監督が今季、中島をチームの戦力とみなすかどうかは不透明だった。