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【再び中東移籍】中島翔哉、捲土重来は可能か 深刻なのはポルトが高評価する頑固な指揮官との“軋轢”
posted2021/01/19 17:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Getty Images
UAEの強豪アルアインが1月16日、ポルトガルの名門ポルトに所属する中島翔哉の期限付き移籍を発表した。背番号は22。ポルトガルメディアは、契約期間を半年間としている。
クラブのフェイスブックで、中島は「このアジア最高のクラブで、アルアインの選手の一員としてプレーできることを……」などと語っている。ユニフォームを着た写真が掲載されているが、表情がやや固い。5枚の写真のうち、笑っているのは1枚だけだ。
塩谷司がいるアルアインはUAE屈指の強豪
アルアインは、国内リーグで最多13回の優勝を誇り、2003年にはアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を制覇。2018年の自国開催のクラブW杯では準決勝でリーベルプレート(アルゼンチン)を倒して準優勝しているアジア有数のクラブだ。2017年から、日本代表DF塩谷司(前サンフレッチェ広島)も在籍する。
しかし、クラブの格としてはポルトがかなり上と言わざるをえない。
昨年の12月初め以降、中島はポルトで出場機会を失っていた。だから「プレー機会を求めての短期間の移籍」と解釈するべきだろう。実際、中島の代理人はポルトガルメディアに対して「半年間、アルアインで良い時間を過ごし、またポルトへ戻ってくることを目指す」と語っている。
はたして、それは可能なのだろうか。
加入当初、ポルト会長は「どうしても欲しかった」
中島は東京ヴェルディの下部組織で育ち、FC東京などを経て2017年8月、ポルトガル1部ポルティモネンセへ移籍。2017-18シーズン、リーグ29試合10得点12アシストと大ブレイクした。翌年3月、日本代表に初招集されて以降は常連となり、1年後には日本人選手としては史上最高の移籍金3500万ユーロ(約44億円)でアルドゥハイル(カタール)へ移った。
そして2019年6月にコパ・アメリカ(南米選手権)に出場した翌月、ポルト移籍が決まる(ポルトは、中島の所有権の50%を1200万ユーロ=約15億円で買い取ったとされる)。会長は「以前からどうしても欲しかった選手。攻撃の中心を担ってほしい」と語り、背番号10を与えた。