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サッカー界もマッチングアプリの時代に? 名将ビエルサ率いるリーズが明かす移籍市場でのデジタル戦略とは
posted2021/01/19 11:00
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Getty Imaegs
リーズ・ユナイテッドのフットボールディレクター、ビクトル・オルタは「冗談っぽく言うとね」と前置きしてニヤリと笑った。
「これはサッカー界の『マッチングアプリ』なんだ。選手とクラブを直にマッチングできる。代理人と駆け引きする必要がないのは、クラブにとってすごくやりやすい」
今サッカー界で、一部の代理人の横暴が問題視されている。不当に高額な仲介料をせしめたり、補強方針に圧力をかけたりしているのだ。
たとえば、ポール・ポグバがユベントスからマンチェスター・ユナイテッドに移籍金105ミリオンユーロ(約126億円)で移籍した際、代理人のミノ・ライオラは両クラブから計49ミリオンユーロ(約59億円)を受け取った(『フットボールリークス』が告発)。
代理人の手数料が、移籍金の47%とは! 相場は10%なので、いかに法外かがわかる。このままではクラブの強化費が代理人に吸いとられ、サッカー界は干上がってしまう。
移籍をもっとクリーンにしたい——そんな問題意識から生まれたのが選手マッチングプラットフォーム『Player Lens』だ。
クラブが値段を公開、個人でも売りに出せる
仕組みはまさに「マッチングアプリ」そのものだ。
クラブは『Player Lens』の会員になると、売りたい選手・レンタルしたい選手をプラットフォームに登録できる。その際、「年俸」「移籍金」「ローン料」を入力して“値段”をつける。閲覧権を設定でき、特定のクラブから閲覧できないようにすることも可能だ。
所属先がない選手は個人で『Player Lens』の会員になって、自らに値段をつけて市場に売りに出せる。
もしマッチング(移籍)が実現したら、運営者である『Player Lens』は移籍金の4%やローン料の4%を手数料として受け取る。ライオラのような狡猾な中抜きはできなくなる。
すでにオルタには欠かせないツールになっているという。