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素朴な疑問:高校サッカー決勝進出&優秀選手→プロで活躍、誰がいる?【過去10年:柴崎や宮市、浅野に染野…】
posted2021/01/10 17:02
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
Takuya Sugiyama
格闘技や箱根駅伝が終わり、年末年始のスポーツ三昧のクライマックスと言えば――高校サッカー、いわゆる「選手権」である。
2020年度の今大会はコロナ禍の影響で、準決勝と決勝は無観客試合となった。とはいえ直近2年の決勝は観客数が5万人オーバー。収容人員の差があるとはいえ、夏の甲子園決勝以上に、人を集める大舞台になっていた。とはいえ観衆が会場に詰めかけられない今回も注目度は高いようで、毎年の名物だったロングスローが、こんなにも“論争”になるとは思ってもみなかった……。
「昭和の頃はJSL(日本サッカーリーグ)より高校サッカーが人気だった」とオールドファンから聞いたことがあるが、今の高校サッカーへの注目度は、日本における国内外サッカー全体の人気が定着したのと並行して“青春イベント”という付加価値もあってのことだろう。
そんな選手権だが、よく見聞きするのはユース勢との比較論だ(特に21世紀に入って以降)。昨年度、埼玉スタジアムから浦和美園駅までの20数分間、横を歩いていた大学生と思しき3人組がこんな会話をしてたのが記憶に残っている。
「最近は日本代表もユース組が中心だよね」
「昔は高校サッカー出身の選手多かったけどね、本田圭佑とかそうじゃん」
「オレも部活じゃなくてユース入ってみたかったなあ……」
ちょっと切なくなった。だけど――本田以外にも大迫勇也、岡崎慎司、長谷部誠らは高体連出身だし、今回の選手権応援リーダーの内田篤人もしかりである。それに近年のJでも高校サッカー上がりの選手が活躍してると思うんだよな……と、素朴な疑問が湧いていた。
ということで今回は2010年代(第89~98回)の過去10年で決勝に出場、もしくは大会優秀選手で、現在もJリーグやヨーロッパで活躍する主な選手を調べてみた。カッコ内は高校名、そして2020シーズンの所属クラブである。
10年前は柴崎、宮市のプラチナ世代に車屋も
<2010年度/第89回>
決勝:久御山3-5滝川二
主な出場選手:【滝】香川勇気(大分)、樋口寛規(福島)、谷口智紀(沼津)
主な大会優秀選手:櫛引政敏(青森山田/山形)、増田繁人(流経大柏/藤枝)、柴崎岳(青森山田/レガネス)、小島秀仁(前橋育英/千葉)、吉田眞紀人(流経大柏/愛媛)、白崎凌兵(山梨学院/鹿島)、加藤大樹(立正大淞南/山形)、山田貴文(日章学園/今治)、車屋紳太郎(大津/川崎)、清水慎太郎(西武台/琉球)、宮市亮(中京大中京/ザンクトパウリ)
「十年一昔」なんて言葉があるが、10年前の高校サッカーでヒーローになったメンバーを見ると、その思いが強くなる。
彼らのほとんどはいわゆる「プラチナ世代」。ユース勢では宇佐美貴史や杉本健勇らがいた一方で、柴崎や宮市らが高体連組で、白崎もJクラブが激しい争奪戦を繰り広げた。また車屋は大学進学組の“成長筆頭”と言っていいだろう。ちなみにこの1年前、第88回大会決勝のカードは2020年度の第99回大会と同じ「山梨学院vs青森山田」で、柴崎は当時2年生だった(優勝したのは山梨学院)。