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名守護神カーンが今や名取締役 「成功だけが数えられる」バイエルン、5冠後も進化する規律と伝統 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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posted2021/01/07 11:01

名守護神カーンが今や名取締役 「成功だけが数えられる」バイエルン、5冠後も進化する規律と伝統<Number Web> photograph by Getty Images

5冠後も安定した強さを見せるバイエルン。カーンらフロントも一枚岩だ

 そう言えば昨年、合宿先のドーハで代表取締役に就任したばかりのオリバー・カーンが選手に対してこう伝えたという。

「FCバイエルンでは成功だけが数えられる」

 その言葉は、選手たちにダイレクトに届いたことだろう。どこよりも、誰よりも勝利を渇望する選手でなければ、ここでプレーする資格はないのだと。

ゴレツカ「疲れは言い訳にはならない」

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 CL優勝まで駆け上った昨季、チームは週2試合の過密日程をこなしてきた。2020年の公式戦の数は48試合。負傷者も多く出た。足は重く、体のタンクが空っぽでも不思議はない。疲労により、自分たちらしいサッカーを披露することも難しい。それでも、厳しい日程を言い訳にする選手はいなかった。

 レオン・ゴレツカは昨年11月、「間違いなくすごく疲れているよ。でも監督は『疲れは我々にとって言い訳にはならない』とずっと言っている。だから言い訳にしたりしない」と言葉に力をこめた。トーマス・ミュラーは「秋はすべてが少し難しくなる時期だ。でも最後に一番上へ立ちたいと思うチームならばどこでも、そこを乗り越えなければならない。乗り越えられたら素敵じゃないか」と、自分たちのやるべきことを受け止めていた。

先制点を許してからが俺たちの勝負だ

 7試合連続で先制点を許す厳しい流れにも屈しなかった。まるで、そこからが俺たちの勝負だと言わんばかりに、何度も何度も立ち上がった。レバークーゼン戦もそうだった。終盤になればなるほど、疲れを見せてゆくレバークーゼンに対してバイエルンは逆にどんどん圧力を増していった。

「最後まで勝つためにプレーする。だから、最後にチャンスを手にすることができたんだ。このチームには素晴らしいクオリティに加え、類まれなメンタリティとチームスピリットがある。今日の試合も絶対に勝ちたいと思っていた。本当に最後まで勝者としてピッチを後にすることを信じて疑わない。チームにはハートがあった。最大限の賛辞を贈りたい」

 ハンス・ディーター・フリック監督はレバークーゼン戦後に、そう振り返っていた。

 選手にクオリティがあれば、それですべてが噛み合ったりはしない。バイエルンというクラブがもつ伝統を正しく理解させて、そのためにあるべき姿を明確に示して、それをチームの力としていく。カーンは、そんなフリック監督のチーム作りを絶賛していた。

【次ページ】 途中出場・途中交代サネに対する興味深い対応

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