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名守護神カーンが今や名取締役 「成功だけが数えられる」バイエルン、5冠後も進化する規律と伝統
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2021/01/07 11:01
5冠後も安定した強さを見せるバイエルン。カーンらフロントも一枚岩だ
「私はバイエルンというクラブをずっと前から知っている。このクラブへ完全に順応するには長い時間が必要だ。フランク・リベリーやルカ・トーニが移籍してきた2007年のことをよく覚えている。当時『ここはフィオレンティーナやマルセイユではなくバイエルンだ!』ということを言ったと思う。バイエルンの存在意義を正しく理解するためには間違いなく時間がかかる。レロイは素晴らしいクオリティと人間性と性格を持っている。だからこそ我々は彼に非常に期待をしているのだ」
サネ自身も信頼を感じつつ自らを“批判”
サネ自身もクラブからの信頼を感じながら、毎日のトレーニングに励んでいる。
「交代を知らされて最初は驚いた。でもチームは試合後すぐに僕のところに来てくれたし、勝ち点3をみんなで喜んだよ。信頼は感じているし、このクラブでプレーできることは、すごく居心地いい。僕自身が僕のプレーに対する一番の批判者だと思っているし、自分のパフォーマンスを引き出し切れていないことはわかっている。でも、そんな状況も今後は変わっていくはずだ」
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バイエルンは結束を大事にする。選手がバイエルンの一員として正しく振る舞い、自分のパフォーマンスを出すために最大限の努力をしていたら、全力で守る。全力で支える。それがベースにあるからこその強さ。結局、昨年の敗戦は1試合だけ。
レバンドフスキの言葉には畏怖の念すら
「疲れが襲ってきても自分たちのクオリティは発揮しなければならない。負担が重くのしかかってきても、それを跳ね返すための準備をしてきた。だからいつでも試合をひっくり返すことができるんだと思う」
レバンドフスキの言葉が重い。ライバルクラブは畏怖の思いで羨望さえするのだろう。ドルトムントの元ドイツ代表DFマッツ・フンメルスもこぼしていた。「僕らにバイエルンのようなメンタリティが備われば」と。
先頭で進み続けると決めた強固な覚悟。このバイエルンを倒して優勝を狙うためには、その覚悟さえをも吹き飛ばすほどの力がなければならないのだろう。
盟主という言葉は、伊達じゃない。