海外サッカーPRESSBACK NUMBER
ソン・フンミンは経済効果1886億円&パク・チソンとの比較論 蔚山ACL制覇&神戸との“VAR論争”【韓国サッカー2020】
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byGetty Images/Shigeki Yamamoto
posted2020/12/30 17:00
ソン・フンミンとパク・チソン。韓国サッカーが生んだ2大スターであることは間違いない
1人で「1886億円」の経済波及効果!?
これは日韓比較でいうと"欧州組の数は日本がはるかに多いが、トップオブトップは韓国に握られている"という2000年代中盤からの傾向が続き、より濃くなったことも意味する。
ただしこれについては、「どちらがいい」という結論がなかなか出ないものでもある。なぜならこの成果のひとつは、代表チームの結果としての注目度が大きいからだ。両国のW杯の成績は似通っているが、むしろ2018年W杯と2019年アジアカップを切り取ると、ソン・フンミンのような突出した存在がおらずとも、欧州組の数が多い日本のほうが結果は良い。
ただし、韓国はこの21日にこんな数値を出してきた。
「ソン・フンミンの経済波及効果が約2兆ウォン(約1886億円)」
1人の突出した存在の“効果”を示したのだ。
政府の文化体育省が発表したもので、関税庁輸出業務統計、韓国銀行の産業関連分析、国内外のアンケートを通じてはじき出されたという、ものすごいデータだ。
国家ブランド向上で欧州への輸出増加?
まずはソン本人の移籍市場での価値が1206億ウォン(約113億円)。そして彼の存在による輸出拡大と波及効果が1兆1220億ウォン(約1058億円)規模なのだという。
後者を細かく見ると国家ブランド向上効果による韓国のヨーロッパ向けの輸出増加が3054億ウォン(約228億円)、彼の活躍による生産誘発効果が6207億ウォン(約585億円)、付加価値が1959億ウォン(約194億円)……。さらに「感動とプライド高揚、若者のモチベーションアップ、海外スポーツ拡大などによりソン・フンミンが国内に誘発した無形の価値効果」は7279億ウォン(681億円)、そして本人の広告売上効果が180億ウォン(約17億円)……だそうだ。
まあ突出した存在がいればこういった効果もあるか。
その国内人気は留まるところを知らず、21日、政府文化体育省のパク・ヤンウ長官が「国民に大きな感動を与えた」とコメント。また、韓国の世論調査会社「韓国ギャラップ調査研究所」が選定した「2020年を輝かせた人物 スポーツ部門」で堂々の1位に。ここ4年間、1位ソン、2位リュ・ヒョンジン(MLBブルージェイズ投手)のランキングは不動のものだという。またソンは全ての年齢帯で1位になった。