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2年連続最下位ヤクルトが“60億の札束乱舞”のナゼ ファミリー気質と“腸活”で下剋上なるか
posted2020/12/31 11:04
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Nanae Suzuki
このオフ、プロ野球界をざわつかせている球団がある。
「山田哲人内野手が、7年総額40億円で残留」
「石山泰稚投手が、4年総額7億円で残留」
「小川泰弘投手が、4年総額8億円で残留」
「青木宣親外野手が、3年総額10億円で契約更新」
フリーエージェント(FA)権を持つ主力の引き留めや、ベテラン選手の複数年契約に飛び交った札束は、ざっと総額60億円以上。大盤振る舞いの主役が、4年連続で日本一になったソフトバンク……ではなく、2年連続でセ・リーグ最下位に沈んだヤクルトなのだから、驚くのは当然だ。
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「総額」という言葉は、インセンティブ契約などを全てクリアした際の「満額」という意味ではあるが、それにしても景気のいい話である。
20年シーズン赤字は20億円とも30億円とも
東京・北青山に球団事務所を構え、本拠地は神宮球場。ゴージャスな立地とは裏腹、ヤクルトは長年、実に慎ましく球団を経営してきた。近年少しずつ観客動員を伸ばし、2019年度決算でようやく、純利益・利益剰余金ともに1億円以上のプラスという単年度黒字を達成。これまで赤字続きだっただけに、悲願成就の19年オフには、球団職員に“祝い金”が出たほどだ。
ところがコロナ禍で開幕が遅れ無観客だったシーズン序盤に本拠地・神宮球場の試合が集中した20年シーズンは、入場料収入が激減した。「赤字は20億円とも30億円とも言われています」と球団関係者。球団としての台所事情は非常に厳しいだけに、“60億円”の“埋蔵金”は一体どこから? というミステリーはなおさら深まる。