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年末年始恒例“プレミア超過密日程” 「ビッグ6」の難易度を★5つで評価すると…最もツラいのは?
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2020/12/26 17:02
不調のアーセナル、そしてシティはともにチェルシー戦が控えるが、果たして?
エバートンとチェルシー戦を乗り切れるか
【マンチェスター・C】8位 勝点23
EFL 12/22 4-1 アーセナル(アウェイ)
EPL 12/26 vsニューカッスル(ホーム)
EPL 12/28 vsエバートン(アウェイ)
EPL 1/3 vsチェルシー(アウェイ)
EFL 1/6 vsマンチェスター・U(アウェイ)
FAC 1/10 vsバーミンガム(ホーム)
難易度:★★★★★
今季もリバプールとプレミアの覇権を争うと目されていたマンチェスター・Cだったが、ここまで本調子とはいえないようだ。序盤のセルヒオ・アグエロの不在やガブリエウ・ジェズスの負傷離脱なども影響し、現在トップ10では最少の19得点。故にマンチェスター・ダービーやWBA戦など、決め手を欠いて勝ちきれない試合が多い印象だ。
そんなシティの過密日程はなかなか厳しいスケジュールとなりそうだ。ニューカッスルと戦った後、中1日で現在4位の好調エバートンとぶつかる。そして年明けには、苦手のスタンフォード・ブリッジに乗り込まなければならない。敵地でのチェルシー戦はここ2シーズン痛い目に合っている。18-19シーズンは開幕から15試合続いた無敗を止められ、19-20シーズンは1-2で敗れたことでリバプールの優勝を決定づけてしまった。
それだけではない。4連覇がかかるカラバオ・カップでは準決勝でマンチェスター・ダービーが実現。先日のリーグ戦の対戦では互いに決め手を欠いてスコアレスドローと不完全燃焼に終わっており、この一戦は総力をあげた戦いになる。
かなり難しい相手、難しい日程であることは確かだ。ただ現在8位とはいえ、2位レスターとの差はわずか4ポイント。さらに上位陣との直接対決が続く。年末年始を経て、リーグ戦はライバル達を押しのけ上位浮上、そしてカラバオカップ4連覇に王手をかけるというシナリオは大いにあり得る。
アーセナルの相手は“残留争いライバル”
【アーセナル】15位 勝点14
EFL 12/22 1-4 マンチェスター・C(ホーム)
EPL 12/26 vsチェルシー(ホーム)
EPL 12/29 vsブライトン(アウェイ)
EPL 1/2 vsWBA(アウェイ)
FAC 1/9 vsニューカッスル(ホーム)
難易度:★★★☆☆
この状況が続くようであれば残留争いまっしぐら。アーセン・ベンゲルの長期政権が続いたがため、見切りのつけどころを知らないアーセナルのフロントは、このままミケル・アルテタでシーズンを乗り切るつもりだ。アーセナルの今季の目標は、現実的なところで「トップ10」だろう。
もちろんチェルシーとのダービーマッチがスパーズ戦、マンチェスター・U戦に次いで負けられない一戦であることは確かだ。だが今季の状況を鑑みれば、ブライトン戦、WBA戦のほうがアーセナルにとって重要な試合である。もはや彼らにとってアーセナルは「順位を争うライバル」であり、負けない戦い方よりも勝つための戦い方を選んでくるはずだ。
後半戦に差し掛かるタイミングで、中位圏まで浮上して少し肩の荷を下ろせるのか、残留争いに引き込まれて切羽詰まるのかは、この過密日程でブライトンとWBAに勝利できるかどうかに懸かっている。
全20クラブが過密日程なのは、ある意味公平?
ビッグクラブの大きなディスアドバンテージのひとつは、試合への準備期間にある。ミッドウィークにもCLなどのカップ戦を行うため、綿密な戦術練習を行う時間がない。一方の中堅クラブは、ビッグクラブとの一戦に備えて入念な対策ができるわけだ。
年末年始はその過酷さゆえに疲労の蓄積、負傷者を出すリスクなど負の面が度々フィーチャーされるが、プレミア全20クラブが同じように過密日程をこなすため、トップクラブにしてみればハンディキャップがなく公平に戦える期間でもある。
独走態勢に入りたいリバプール、混戦の上位争いから頭一つ抜け出したいクラブ、残留争いを回避したいアーセナル――境遇の異なるビッグ6には、この過密日程をチャンスと捉えてほしい。
年が明け、それぞれが過酷なスケジュールを消化し終えた後、プレミアリーグの順位表はどのような姿になっているだろうか。
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