「ミーティングの時間は短くなった」男子バレー“新旧監督”ティリとブランは何が違う？ “右腕”伊藤健士コーチの証言「今年は新しい風を浴びる年だと」

　日本代表の石川祐希主将は、世界選手権から帰国した際、大会中の日本のディフェンスとサーブ戦術についてこんな話をしていた。

「相手のクイックで決められるケースが非常に多かった。（ロラン・）ティリ監督は戦術的に、相手のメインスパイカーにサーブを集める方針でした。たとえその選手の返球率が良くても集める。そこは今までとは違うところ。僕たちはクイックとパイプで攻撃されるのが一番苦手としているところで、逆に相手のサイド攻撃に対するブロックディフェンスには非常に自信を持っている。なので、パス（サーブレシーブ）が悪い選手を狙ったほうがBパスCパスのシチュエーションが増えて、サイド攻撃の展開になり、ディグできる確率が上がっていたのかなと。終わってみればそう思います」

伊藤をはじめとするコーチ陣と会話を重ねていたという主将・石川祐希　©︎Getty Images

　実は第2戦のカナダ戦に臨む前に、伊藤健士コーチは石川とその話をしていた。

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「石川とはたまにフラッと立ち話をするんですけど、カナダ戦の前にも、彼がそんな話をしてきて。僕の考えも伝えました。日本は相手にクイックを打たれないほうが絶対にいいから、やっぱりパスが悪い選手をサーブのターゲットにしたほうがいいんじゃないかなと。要は、監督と違うことを僕と石川はちょっと話していたんです。

　我々日本はサイズがない分、高いクイックを使われると間に合わない。ブロックがない状態で打たれると、どんなにディグがよくても難しい。でもサイド攻撃にはブロックが1人は必ず跳べて、ある程度コースが限定されるので我々は強いんです。

　ただ、ティリさんは相手のベストスパイカーに対してサーブでストレスを与えたいという考えなので、それを基準にサーブのターゲットが決まっていた。今年はティリさんがやりたいようにやるシーズンだと考えていたので、そのことも石川と話していました」

　そこが今季の難しいところだった。

　今年の日本代表は、コーチの伊藤、坂梨朋彦、深津貴之の3人をはじめ、昨年までのスタッフの多くが留任していた。だからこそ伊藤は「今年は違う風を浴びる年」だと決めていた。

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