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常人離れしたカンテ、黒子役FWジルーの復活… 好循環チェルシーの“ベスト布陣”を考えてみた
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/12/16 06:00
ゾウマのゴールを喜ぶジルーとチルウェルらチェルシーイレブン。ランパード監督のもとで明らかに好循環に入っている
守備陣は固定されつつある。GKエドゥアール・メンディ。DFは4バックで、右からリース・ジェイムズ、クルト・ズマ、T・シウバ、ベン・チルウェルが並ぶ。
メンディは公式戦14試合で9回のクリーンシート。ケパに定位置争いさえも許さなかった。ファイナルサードのクオリティ不足を指摘されていたジェイムズは試合を重ねるごとに成長し、移籍当初はプレミアリーグのプレー強度に戸惑ったT・シウバも、さすがの経験で瞬く間にフィット。チームリーダーとしての風格すら漂いはじめている。
彼ら5人で結果が出ている以上、セサル・アスピリクエタやアントニオ・ルディガーはベンチを温めるしかない。いや、彼らのような実力者が控えという事実が、チェルシーの強さでもある。
カンテの人並み外れた能力ならアンカー適任
中盤も固定されてきた。アンカーにカンテ、インサイドハーフは左がメイソン・マウント、右にマテオ・コバチッチ、もしくはカイ・ハバーツが基本と考えていい。
そのあおりを受けたジョルジーニョは序列を下げ、プレミアリーグでは2カ月近くも先発から遠ざかっている。レジスタとしての才能は評価できるものの、彼の守備能力で幅広いエリアをカバーできるとは考えづらい。4-3-3はアンカーの両サイドにスペースが生じやすい陣形だ。
したがって、アンカーはカンテが当然の選択肢だ。フォーメーション上の不安を処理する能力は、彼をおいて他にない。パスセンスではジョルジーニョに劣るものの、人並み外れた危機察知能力と豊富な運動量で、ピンチの芽を未然に摘み取っていく。
さて、ランパードの原則である後方からのビルドアップとポゼッションを語るうえで、今シーズンのメイソン・マウントはスルーできない。