プレミアリーグの時間BACK NUMBER
絶不調アーセナルと週給4900万円の“生きた化石”エジル 古典的ナンバー10にもう出番はないのか
posted2020/12/15 17:01
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
2度目の全国的ロックダウンが終わったイングランドでは、3段階に分けられた地域や都市のコロナウィルス感染レベルに応じて、プレミアリーグでも9カ月ぶりに有観客試合が許されるようになった。
「ティア2」扱いのロンドンの試合会場は最大2000人まで。解禁初日の12月3日、アーセナルがホームにラピド・ウィーンを迎えたヨーロッパリーグ(EL)での一戦でも、2000人の地元ファンがエミレーツ・スタジアムに戻ってきた。同時に、緑色の恐竜マスコット、ガナーサウルスも。
アーセナルのマスコットに“絶滅”が心配されたのは、その2カ月ほど前である。
コロナ禍での人員削減対象であることが公にされると、サポーターからは悲しみと怒りの声が上がった。ガナーサウルスを救おうと動き出した者の中には、ぬいぐるみを着るスタッフの給与全額負担を申し出たメスト・エジルもいたのだ。
昨季3月のホームゲーム以来出場なし
ところがエジル自身は、再びマスコットが姿を現しても、試合当日にユニフォーム姿が見られないままだ。32歳のプレーメイカーは、昨季後半戦3月のホームゲーム以来、ピッチ上で“生存”が確認されていない。今季は、プレミアリーグ前半戦でもELグループリーグでも選手登録外。アーセナルの10番は、その存在が時折SNS上で確認されるだけの「生きた化石」も同然だ。
ピッチ上での生き生きとした姿を見たいと願う者は多い。前述のR・ウィーン戦では、お手製のプラカードを掲げて「メストのチーム復帰を」と訴えるファンの姿をテレビカメラが捉えた。その3日後、アーセナルが敵地でトッテナムとの北ロンドンダービーに敗れると(0-2)、起用を勧める識者の数も増えた。
発言の主は、一軍コーチを務めていた昨季、暫定指揮した8試合のうち6試合でエジルを起用したフレドリック・ユングベリだけではない。
クラブのフロントにすれば、今季末で契約が切れる戦力外のチーム最高給取りを1日でも早く放出したいところだろう。だが、今季開幕を前に「ヘッドコーチ」から「マネージャー」に肩書きが変わり、監督としての発言権も増したはずのミケル・アルテタにとっては、移籍市場が開く新年1月は、後半戦での登録選手変更が可能なタイミングでもあるのだ。