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“現実版キャプテン翼クラブ”南葛SC、ロベルト本郷の教えで“J6”昇格 高橋陽一先生「マンガ以上にドキドキ」
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byKenzaburo Matsuoka
posted2020/12/06 06:00
昇格が決まり大喜びする南葛SCと高橋陽一先生
無観客試合となった会場のピッチ脇には「GO TO 関東」、「葛飾からJリーグへ」といった激励の横断幕とともに「ロベルトノート52ページを忘れるな!!」というフレーズもあった。
簡単に説明すると、「ロベルトノート」とは、『キャプテン翼』の主人公・大空翼の師匠であるロベルト本郷が書き残した指南書のことだ。その中でも「サッカーの楽しさ」が綴られているのが、52ページなのである。南葛SCの未来をかけて臨む重要な大会でも、サッカーを楽しむ気持ちを忘れないこと。そんな『キャプテン翼』のメッセージが選手たちに送られていた。
前半で最終ラインの統率者が負傷交代
昇格の切符をかけた相手は、TIU(東京国際大学)。
前半は一進一退の攻防だった。2週間の準備期間があったことで、当然ながら相手も入念な対策をしてくる。ボールを大事にするスタイルの南葛に対して、TIUは前線のターゲットマンに向けたロングボールを効果的に使ってくる。ある程度は想定していたが、その徹底ぶりは予想以上で、なかなか地上戦での狙いを展開できなかった。
そんな中、南葛にアクシデントが起きる。34分、エアバトルで無類の強さを誇っていたCBのデイビッソンが、筋肉系のトラブルで続行不可能に。青木とのコンビで堅陣を築いていたデイビッソンを試合途中で欠く事態となった。指揮を執る島岡健太監督は、ベンチから名畑典樹を呼びピッチに送り出し、左サイドバックで先発していた三原向平をCBとして対応させていく。思わぬアクシデントだったが、守備陣は隙を見せることなく試合を進めていく。
一方で、攻撃陣はリズム作りに苦労していた。キャプテンマークを巻き、前線で身体を張って奮闘していた佐々木竜太が口にする。
「正直に言えば、チーム力は自分たちの方が上だと思っていました。ただトーナメントでの勝たないといけないという心理では、僕らのいつものプレーが出せるかというと簡単ではなかった。相手は学生で、若くて勢いがある。自分たちのサッカーという意味で、前半に関しては、向こうの方が機能していたと思います」