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“現実版キャプテン翼クラブ”南葛SC、ロベルト本郷の教えで“J6”昇格 高橋陽一先生「マンガ以上にドキドキ」
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byKenzaburo Matsuoka
posted2020/12/06 06:00
昇格が決まり大喜びする南葛SCと高橋陽一先生
それを受けて気持ちを奮い立たせて臨んだ延長前半、右サイドバックの加藤颯人が、切り替えしからの左足のシュートが決まりリード。チームメートも見たことがないと茶化すゴラッソだった。
さらに、後半に決定機を外していた河本が落ち着いたシュートを決めてダメ押し。粘る相手を振り切り、延長戦の激闘を4-2で制した末に、歓喜の瞬間が訪れた。
そういえば南葛vs明和も4-2だった
ようやく掴み取った関東リーグの昇格切符。
劇的な一戦を見届けた直後の高橋陽一氏に試合の感想を尋ねると、「半分、諦めましたね」と照れたような笑顔を見せていた。自身のツイッターで「マンガ以上にドキドキ、ハラハラの展開だったので、うれしい以上に、ホッとした、という感じです」と述べていたが、漫画とは違うと言っても、ドラマティックに勝ってこその南葛かもしれないという気がしてくるから不思議だ。
なおまったくの偶然だが、『キャプテン翼』の南葛SCが再延長戦の末に明和FCを下して優勝した全日本少年サッカー大会決勝のスコアも4-2である。
「昇格がマストなシーズン」で勝てた重み
就任3年目を迎えた岩本GMは「この勝利は、南葛SCの歴史にとって最も重要な勝利だったと思います」と述べていたが、言い換えれば、この一戦には、それだけの思いがかかっていたということだ。攻守の軸である佐々木と青木の両ベテランは、昇格の喜びを噛み締めるとともに、自身も大きなものを背負っていた一年だったと口にする。
「今年はいろんなものを犠牲にして、関東昇格にかけてきました。今日、ベンチに入った選手も、スタンドで応援していた選手も、一生懸命、1年間やってくれた。チーム一丸でやれました。今日は喜びたいです」(佐々木)
「正直、ホッとしました。昇格がマストなシーズン。ここで結果を出せて、南葛SCに関わる人の結果に応えられた。南葛はもっと上のカテゴリーでやっていく可能性があるチームですし、1つ上げることができて本当に良かった」(青木)
試合後の島岡監督は、選手たちの頑張りを称えるとともに、フロントスタッフの努力にも感謝を述べていた。今季は練習の活動日数を週4から週6日に増やし、社会人チームとは思えないほど厳しいトレーニングを積んできたが、コロナ禍で取り組む環境は決して当たり前ではないからだ。