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「マリノスで違ったのは……」モンバエルツが明かす“就任1年”でメルボルンを強くできた理由
posted2020/12/06 17:00
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Getty Images
エリク・モンバエルツがメルボルン・シティの監督に就任したのは昨年6月のことだった。横浜F・マリノスに続く、シティ・フットボール・グループ(以下、CFG)に所属する2つ目のクラブでの仕事で、契約期間は3年であった。しかし今年9月、シーズン終了とともに彼は、唐突とも見える格好で辞任しフランスに帰国した。
いったい何が起こったのか?
メルボルン・シティでの1年は輝かしいものだった。Aリーグのレギュラーシーズンを2位で終え、グランドファイナルは敗れたとはいえシドニーFC相手に延長戦の末の惜敗で、クラブ史上初のACL出場権も獲得した。さらに自身もAリーグ最優秀監督に選ばれたにもかかわらず、辞めなければならなかった理由はいったい何であったのか。
モンバエルツに話を聞いた。メルボルンでの充実した仕事と残念な形で終えざるを得なかったシーズン、帰国の真相、そしてマリノスや日本への変わらぬ思いとは――。(全2回の1回目/#2に続く)
◆◆◆
――元気ですか?
モンバエルツ ああ、君も元気か?
――ええ、悪くないです。フランスに帰ったのですね。
モンバエルツ そうだ。ちょっといろいろあったが、まあいい。入国の際のコロナ検査も結果は問題なく、今はトゥールーズに戻ったところだ。それで君はどうしている?
――ずっと東京にいます。マリノスの試合にも行っていますが、今季はまあまあというところです。
モンバエルツ 何か問題があるのか?
――プレーのクオリティが昨季ほどではありません。質の高い選手を多く獲りすぎたのと、コロナの影響で日程が過密になったので、メンバーを固定してコンビネーションを高められないからです。今年はちょっと厳しいです。
モンバエルツ 川崎がJリーグの首位を走っているのだろう。
――とても安定していてクオリティも高いです。
モンバエルツ 川崎は私がいたころからずっとクオリティの高さを保っている。彼らのスタイルは私も好きだ。
クラブ史上初の快挙も……
――あなたも良いシーズンだったのではありませんか?
モンバエルツ メルボルン・シティがこれだけの結果を残したのは初めてのことだった。勝ち点もそうだしプレーオフの決勝まで進んだ。クラブ史上初の快挙で、リーグ得点王もメルボルンの選手(ジェイミー・マクラーレン。22得点)が獲得した。