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“現実版キャプテン翼クラブ”南葛SC、ロベルト本郷の教えで“J6”昇格 高橋陽一先生「マンガ以上にドキドキ」
posted2020/12/06 06:00
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
Kenzaburo Matsuoka
11月28日の関東社会人サッカー大会準決勝。
『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一氏が代表を務めている「南葛SC」は、運命の一戦を迎えていた。
関東リーグ2部の昇格枠は2つだ。
コロナ禍の影響で変則日程となった東京都リーグ1部を苦しみながらも優勝し、1都7県の代表16クラブによるトーナメント戦となるこの大会に進出。1回戦で品川CC横浜(4-1)、準々決勝で与野蹴魂会(5-1)に勝利し、勝てば昇格となるこの舞台にたどり着いた。
本気でJリーグを目指している南葛にとって、今季の昇格は至上命題だった。
初挑戦となった2年前は、東京都リーグ1部を優勝するも、関東社会人大会準々決勝で東邦チタニウムに敗れ、昇格を逃している。昨年はリーグ7位に終わり、関東社会人大会出場も果たせなかった。そして3年目の今年、2月にJリーグ百年構想クラブに認定されたことで、これ以上の足踏みは許されない状況だ。
大袈裟でも何でもなく、クラブの未来をかけて臨む一戦と言っても言い過ぎではなかったのである。
鹿島で376試合出場の青木剛が語ったこと
「独特の緊張感でしたね。一発勝負で、1年の全てが1試合1試合にかかっていた」
チームの最終ラインを支えるセンターバックの青木剛は、そう振り返る。鹿島アントラーズで376試合出場のキャリアがあり、日本代表経験もある経験豊かな38歳だ。そのベテランが今年にかけていた思いを口にする。
「去年、縁があって入団させてもらいましたが、都リーグ7位で関東大会にも行けなかった。そこのリベンジ、覚悟を持って今シーズンは臨みました。昇格が絶対条件。ただ都リーグを勝ち抜いて、関東大会も一発勝負で、そこで上がらなければいけない。1試合1試合の思い入れが半端じゃなかったです。でももし上がれなかったら自分の責任だと思っていました。そのプレッシャーは、あえて感じていたところもありますし、自分の中でも意識していました」
トーナメントでの一発勝負では何が起きるかわからない。
勝負に絶対がない以上、昇格を義務付けられた選手たちにかかる重圧も想像以上だったに違いない。ただ必要以上に気負うこともない。