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快進撃を続ける富山グラウジーズ マブンガと宇都、そして新たなオプションとなった第3の男とは
text by
吉川哲彦Akihiko Yoshikawa
photograph byB.LEAGUE
posted2020/11/28 17:00
11月15日時点での今季の富山の1試合平均得点はリーグ2位の89.1点で、昨季に比べて何と+13.1点。マブンガ(写真の背番号32)、宇都を中心に圧倒的攻撃力を見せている。
橋本、マブンガ、スミスでビッグラインナップを形成
この日の勝利には、もう1つ大きなポイントがあった。
203cmというサイズを持つ橋本晃佑は、ソロモンとスミスが合流するまでの4試合はスターターとしてインサイドを任されていたが、外国籍選手3人が揃ってからは出場機会が限られていた。
しかし、この試合では17分52秒出場して得意とする3ポイント2本を含む8得点を挙げた。マブンガとスミスが出場している時間帯もコートに立ち、ビッグラインナップを形成。サイズを生かしたリバウンドやディフェンスでもチームにアドバンテージをもたらした。ソロモン不在をカバーしたばかりか、外国籍選手3人が同時出場できないレギュレーションで、帰化選手やアジア枠選手も有しない富山に新しい選手起用の形を作り出したのだ。
今シーズンは外国籍選手のベンチ入り人数が2人から3人に増え、サイズのある日本人選手が出場機会を大幅に失うことも予想されていた。しかし橋本は、昨シーズンまで在籍していた宇都宮ブレックスではアウトサイドのプレーもこなしていたとあって、富山でもビッグラインナップに上手く順応した。新しいチームで自身がどのような役割を果たすべきかということも、徐々に明確になってきているようだ。
橋本の起用法が確立されれば……
「日本人ビッグマンには厳しい状況ですが、その中でも自分ができることを探していて、自分の場合は宇都宮で3番ポジションの動きを学べたことを、富山でも少しずつ出していけるかなというのはあります。3ポイントが得意なので、今シーズンは特に確率を重視して決めていきたいですし、他にもディフェンスのスイッチとか、リバウンドのボールをティップしてチームメートに取らせるとか、やれることはあると思う」
実際にこの試合では、浜口HCは相手のシューターである辻直人を橋本にマークさせ、辻が外国籍選手のスクリーンを使ってもマークマンを入れ替えるスイッチディフェンスで一定の対応はできた。12月以降には強豪チームとの対戦が続々と待ち受けるが、橋本がキーマンになる可能性は十分にある。
その橋本は、チームがさらに白星を重ねられるという感触も得ている様子だ。
「炎さんもまだ探り探りで、チームの理解度もまだ100%ではないと思うんですが、練習や試合を重ねて、炎さんのやりたいことがだんだんわかってきたという感覚はあります。まだ4分の1が終わった段階で、これからもっと高めていきたいと思います」
浜口HCは「晃佑を使いこなせていなかったのは僕の責任。彼がもっとチームにフィットするように考えていかないといけない」と語る。マブンガと宇都の共存が形になっている今、橋本の起用法が確立されれば富山はどのチームにとっても脅威になり得る。