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「カントナ風な新ガスコイン」にウィリアム王子も熱狂! 問題児MFだが…ソックスと涙の親子秘話
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2020/11/30 17:00
アストンビラの攻撃をけん引するグリーリッシュ
リバプールに勝った夜の泣ける秘話
19歳の一軍1年生だった2014-15シーズン、ウェンブリー・スタジアムでのFAカップ準決勝でリバプールを下した夜のエピソードが泣かせる。
就寝後の家族を起こさないようチームの全2得点に絡んだピッチで着ていたユニフォームをソファの上にそっと置くと、翌朝に気付いた父親が汗の染みた息子のユニフォームを1日中着ていたのだとか。そんな話を聞けば、親子代々のサポーターが多い母国民はアストンビラのファンならずとも心を動かされるというものだ。
さほど遠くない将来、グリーリッシュが最愛のクラブを巣立つ日も訪れるだろう。事実、今季の出足が鈍いマンチェスター・シティは、契約を延長したペップ・グアルディオラが来夏の獲得を望んでいるとされる。
2025年まで契約のある25歳の移籍金は推定1億ポンド(約135億円)。アストンビラのファンたちが、無念を堪えてステップアップにエールを送ってくれそうな置き土産となる。今季終了後、1年延期となっているEURO2020で高い創造性と相手ヘの脅威を披露できれば、ビッグクラブ勢が獲得に動くことはまず間違いない。
イングランド代表では新顔に過ぎないが
キャップ数5の新顔に過ぎないイングランド代表は現在、メンバーもシステムも試験中の段階にある。国内には「グリーリッシュを中心に」との声もあるようだが、クラブでは3トップの一角、トップ下、インサイドハーフでのプレー経験もあるMFは、代表を率いるガレス・サウスゲートのチーム作りにも適応してみせるはずだ。
アストンビラではチェイシングに精を出す姿はあまり見られないが、それは、トランジションの際にチーム最大の武器がパスを受けて速攻に転じる戦術のため。実際には、代表監督が求める前からの守備を遂行する責任感も備えてもいる。
イングランドでは引き続き、サッカー界の流行語として「グリーリッシュ」が頻出することになりそうだ。