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「カントナ風な新ガスコイン」にウィリアム王子も熱狂! 問題児MFだが…ソックスと涙の親子秘話
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2020/11/30 17:00
アストンビラの攻撃をけん引するグリーリッシュ
ベルギー戦でファンを唸らせる好プレー
4ゴール5アシストの約半数は大金星をあげた10月のリバプール戦(7-2)での2ゴール3アシストが占める。ただその直後にはウェールズとの親善試合(3-0)で、イングランド代表で初先発も経験した(デビューはその前月に経験済み)。絶好のクロスでドミニク・キャルバート・ルーウィンの先制ゴールを演出するなど、中3日でマン・オブ・ザ・マッチ級のパフォーマンスを連発した。
11月には、UEFAネーションズ・リーグでのベルギー戦(0-2)でスタメンを任された。チームは敗れたものの、個人的には両チームで最高レベルの出来。イングランド国民と中立的なテレビ観戦者にとってのハイライトは、グリーリッシュが最終ラインから受けたボールをファーストタッチでわざと浮かせながら前を向き、カットを試みたトーマス・ムニエをかわして攻め上がった79分の一場面だったはず。
巷で「新ガッザ」の声があがる理由を表すシーンだった。
厳しい評価は高まる期待感の裏返し
高まる一方の期待感は、その裏返しとも言えるリーグ戦での厳しい評価からも窺えた。代表ウィーク明けの21日ブライトン戦(1-2)、グリーリッシュは『デイリー・テレグラフ』紙などで10点満点中5点をつけられた。
ニュアンスは及第点以下。タリック・ランプティの執拗なマンマークに遭い、予想外の敗戦に終わる一因になったことでの低評価だった。
しかし実際には、20歳のランプティが後半アディショナルタイムに2枚目のイエローをもらうまでの90分間で、2度の決定機を作り出していた。味方が放ったシュートは相手GKの反射神経とゴール枠に阻まれたが、それぞれFKとドリブルから放ったグリーリッシュのクロスには、2アシストを記録するに相応しいクオリティがあった。
個人的には、7点は与えられる出来に思えた。確かに、母国民の間でイングランド最後の純然たるワールドクラスと言われる、“ガッザ”ことポール・ガスコインの域にはまだ及ばないが、「元祖」に通じる技術の高さと表現力の豊かさは本物だ。