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国見から13年ぶりの高卒Jリーガー 札幌内定188cm中島大嘉の名前の由来はあの偉大なストライカー
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2020/11/13 17:01
来季J1札幌入りが決まっている国見高3年FW中島大嘉。選手権予選の準決勝で敗れ、悔しい思いを滲ませながら撮影に応じた
選手権予選敗退、堪えきれなかった涙
11月初旬、中島は国見高校のエースとして最後の選手権予選を戦った。しかし、10年ぶりの選手権出場を目指した戦いは準決勝であっさりと幕を閉じた。彼は人目を憚らず大粒の涙を流した。
「今回もスタンドにたくさんの国見町の人たちが勝つことを願ってきてくれたのに、それができなかった。また悔しい思いをさせてしまったことが苦しい」
3年間、一度も全国に導くことはできなかった。だが、それでも13年ぶりに国見高校から生まれた高卒Jリーガーは間違いなく地域の人たちの誇りとなり、光となっているはずだ。
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「高校サッカーが終わったという実感は正直ありません。お父さんや木藤監督、大久保選手が背負ってきた青と黄色の縦縞のユニフォームを脱がないといけないなんて、今は正直考えられません。でも、僕も国見の一員になれたことは嬉しいし、今の僕があるのは間違いなく国見のおかげ。確かに中学の3年間は苦しかった。でも普通に学校へ行ってサッカーをやって、楽しい3年間を送っていたら、国見に来ることはなかったかもしれない。あの時間があったからこそ人としても成長できたし、国見で成長することができた。今は全てをポジティブに捉えています」
大久保、武蔵と同じピッチに
本当の輝きを放つのは、国見高校出身として札幌で活躍することに他ならない。
「札幌でも前回練習参加をした時、みんなアウェイゲームに同行して、僕だけ寮に残ったことがあってめちゃくちゃ悔しかった。未熟ではありますが、早くミシャさんの信頼を掴んで、ベルギーでゴールを量産している武蔵さんのように、まずは札幌で結果を残したい。そして大久保さんや武蔵さんと日本代表のピッチに立たちい。そこで成長した姿を2人に見てもらいたいです」
飛躍の扉を開けて羽ばたく準備はできた。日本を代表する2人の偉大なストライカーの背中を追いかけ、いつかは大きく超えていくように。中島大嘉が北の大地での躍動を誓う。
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