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国見から13年ぶりの高卒Jリーガー 札幌内定188cm中島大嘉の名前の由来はあの偉大なストライカー

posted2020/11/13 17:01

 
国見から13年ぶりの高卒Jリーガー 札幌内定188cm中島大嘉の名前の由来はあの偉大なストライカー<Number Web> photograph by Takahito Ando

来季J1札幌入りが決まっている国見高3年FW中島大嘉。選手権予選の準決勝で敗れ、悔しい思いを滲ませながら撮影に応じた

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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Takahito Ando

 長崎県立国見高等学校。戦後最多タイとなる高校サッカー選手権優勝6回、インターハイの優勝は5回。輝かしい戦績だけでなく、これまで高木琢也(大宮アルディージャ監督)、永井秀樹(東京ヴェルディ監督)、三浦淳寛(ヴィッセル神戸監督)、大久保嘉人(東京V)など、多くの日本代表、Jリーガーを世に輩出した泣く子も黙る名門中の名門だ。

 しかし、2007年に名将・小嶺忠敏氏(現・長崎総合科学大附属高校サッカー部総監督)が退いて以降、2010年度の選手権出場を最後に全国大会から遠ざかっている。Jリーガーも15年度卒の菅田真啓(福岡大学→ロアッソ熊本)以降は誕生していない。

 そんな古豪から希望の星が現れた。

 北海道コンサドーレ札幌は、188cmの長身ストライカー・中島大嘉の加入内定を発表した。国見高校から高卒プロの誕生は白谷建人(元セレッソ大阪)以来となる実に13年ぶりの出来事だ。

父は大久保嘉人の先輩、母は国見町出身

 彼の両親は共に国見高校と深い縁があった。長崎・国見町出身の父は国見高校サッカー部出身で選手権に出場(2回戦で松井大輔がいる鹿児島実業に敗戦)し、1学年下にはあの大久保嘉人がいた。諫早高校でバレーボールをやっていたという母も国見町の出身だ。もうお気づきかもしれないが、彼の名前の由来も国見にちなんでいる。父が名付けた「大嘉」には「大久保嘉人よりも大きくなってほしい」という願いが込められているのだ。

 だが、のちに国見高校に進学する当の本人は「国見町の祖父母の家には小さい頃からよく遊びに行っていましたが、そこまで愛着はありませんでした。お父さんの選手権の映像を見ても、僕とプレースタイルが全然違うし、『あ、お父さんだ』くらいの気持ちでしかありませんでした」と、意識は全くしていなかった。

 中島は2002年6月8日、大阪府生まれ。小学1年からサッカーを始め、アイリスFC住吉、大阪の強豪クラブであるRIP ACE SC U-15と地元のクラブチームでプレー。その爆発的なスピードと高い身体能力を武器に頭角を現し、地元では名前が知られる存在だった。

 しかし、中学2年になろうとする時期、彼の運命の歯車が狂い始める。

【次ページ】 部屋に閉じこもり、サッカーから遠ざかった

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